ノートは「インスタで見せるもの」? 経営者や医者、研究者やインスタグラマーの令和版「ノート&メモ」術
PR 公開日:2024/4/16
手書きのノートをSNSにアップして人気を集める人が増え、一部界隈ではノートが「書くためのツール」を超えて「インスタグラムで人に見てもらうツール」へと変貌している……!
そんな面白い流行が紹介されていた書籍が、『仕事と勉強ができる人のリアル「ノート&メモ」術』(戸田 覚/翔泳社)。経営者から医師、研究者、クリエイター、東大卒勉強法デザイナー、勉強系人気インスタグラマーまで、20人にノート&メモ術をインタビューし、実際のノートやメモを大きな写真ビジュアルで紹介する1冊だ。
本書の面白さの一つは、先の「インスタグラムでノートを見せる」という話も含めた「デジタル」と「アナログ」の混じり具合だ。
「ノート&メモ術」と題した本なので、みんな手書きかと思いきや、デジタルとアナログを使い分けている人は多いし、iPadに手書きした文字をベースにマインドマップを作っている人もいる。紙、ホワイトボード、iPadと、あらゆる媒体にノートをとりまくっているクリエイターもいる。
医師の徳田毅さんはYouTubeで話す内容を手書きで羅列し、チャートとして整理しているそう。
スマホでのメモの取り方も、音声入力を使っている人が複数いるのが非常に「今」っぽい。Kindleで買った参考書や問題集をスクショしてノートアプリに格納し、まとめノート作りに活用……なんていうデジタルな勉強法も紹介される。一流のクリエイターが愛用しているメモアプリの話などは、読んでいて真似したくもなる。
「ノート&メモ術」と聞くと、一昔前の記録法・勉強法のように感じるかもしれないが、本書はそれを「今の時代に合わせてアップデートする方法」を学べる本でもあるのだ。
一方で本書には、もちろんアナログのメモを愛する人も紹介されている。たとえば高校生の頃から50年間(!)ノートにメモやスケッチを書き続けている石川日出志先生(明治大学教授)の、写真にはないスケッチの魅力を語る以下の言葉は納得感が深かった。
「スケッチを描くには実物を細かく観察しなければなりません。そうすることで模様の違いに気づいたりします。不思議なもので、高校生の頃に描いたスケッチを見ると、今でも色が浮かび上がってきます」
(『仕事と勉強ができる人のリアル「ノート&メモ」術』P44より)
本書には「手で書くという行為が、時にデジタルの効率化を上回ることがある」という言葉も登場する。デジタル一辺倒だった人は、本書がアナログのよさを見直す1冊になる可能性もあるだろう。
文=古澤誠一郎