25歳でもパワフルなご長寿猫「みけちゃん」の日常。運命的な出会いや弟猫との絆も!

文芸・カルチャー

PR 公開日:2024/4/26

25歳のみけちゃん"
25歳のみけちゃん』(村上しいこ/主婦の友社)

 この幸せな日々が、1日でも長く続いてほしい。そう願いたくなるニャン生を送るのは、25歳(2024年4月時点)のみけちゃん。みけちゃんは人間にたとえるならば、なんと116歳の超ご長寿にゃんこ! 1本も抜けていない健康な歯でご飯をカリカリ食べたり、チェック柄のオムツを穿きながらおもちゃで遊んだりする姿がSNSで話題になっている。

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P49

25歳のみけちゃん』(村上しいこ/主婦の友社)は、みけちゃんとの日常や、愛くるしい様子を存分に知ることができるフォトエッセイだ。著者で飼い主の村上しいこさんは、児童文学作家。本作では自身の視点とみけちゃんの視点、両方を交えながら軽妙な文章で宝物のような思い出や現在の暮らしを紹介している。

 みけちゃんが暮らすのは、江戸時代後期に建てられた築160年ほどの古民家。しいこさんとの出会いは、運命的なものだった。

 実はみけちゃん、元飼い主さんが引っ越した際、置いて行かれた子だったそう。しいこさんとは、アパートの駐車場で会った時にアイコンタクトを取る程度。

 だが、ある日、犬に噛まれたみけちゃんは助けを求めるかのように、アパートの6階に住んでいた、しいこさんのもとへ。驚くしいこさんを横目に家の中へ入り、ソファでくつろぎはじめた。

P36-37

 どちらかというと犬派だったしいこさんは困惑しつつも、ご飯や、段ボールに猫砂を入れた即席猫トイレを用意。人生で初めて動物病院へ行き、みけちゃんの治療にも励んだ。

今思えば、みけちゃんはアパートに出入りしている人たちを見ながら、
あそこはダメ、犬がいる
あの人はすでに猫が……
あの人は留守が多い
とか観察していたんだと思う。
でなきゃ、わざわざ6階まで上って来ないはずだから。

 みけちゃんから「飼い主」に選ばれたしいこさんは、その後すっかり猫派に。14年前には日当たりのいい一軒家に引っ越し。ひょんなことから2匹のオス猫を迎えた後、現在暮らしている古民家に転居し、多頭飼いライフを楽しむようになった。

P76-77

 一方、みけちゃんは弟分がやってきたことでお嬢様生活が一変。最初は戸惑っていたが、徐々にお姉ちゃんらしい態度を見せるように。時には教育的指導をしながら、弟猫たちを愛でてきた。

P96-97

 本作には写真と共に、そうしたかけがえのない思い出が掲載されており、滲み出る猫愛に泣き笑い。ああ、みけちゃんはこんな風に愛され、24年もの月日を過ごしてきたんだなと、心がポカポカした。

P51の写真

 また、みけちゃんが18歳の頃に始まったてんかん発作との付き合い方や、23歳の頃に見られた夜鳴きへの対処法など、シニア猫と暮らす方にとって役立つ情報も満載。そうしたみけちゃん史に触れると、改めて愛猫の老いとの向き合い方や受け止め方を考えさせられもする。

 愛猫の老いを感じると、失う日が怖くなる。10歳を超えてくると愛猫の誕生日に嬉しさだけでなく、「いつまで一緒にいられるのだろうか」という不安も感じるようになった猫飼いさんは、きっと多いことだろう。3匹の愛猫と暮らす筆者も、そのひとりだ。

 だが、みけちゃんとしいこさんの日常に触れると、愛猫を失うのが怖いからこそ、悲観的になりすぎず、一緒にいられる「今」を共にめいっぱい楽しむことが大切なのかもしれないと思わされた。

 猫は優しい生き物で、飼い主の笑顔が大好きだ。健気なその想いを汲み取って、たくさん微笑みかけ、お喋りをし、限りあるニャン生が最後まで豊かなものであるように配慮してあげられるのは飼い主だけ。そう気づくと、シニア期に対する心構えが少し変わるのではないだろうか。

 なお、本作にはみけちゃんの25年間が詳しくわかる年表も収録。特別付録として、みけちゃんの肉球スタンプをあしらった「お守り兼ポチ袋」もついているので、ぜひコピーして活用してほしい。

 心温まる、人と猫の家族ヒストリー。そこから世の猫飼いは、自分にできるシニア猫の愛で方を学ぶはずだ。

文=古川諭香