『恐竜はじめました』の著者が描く初絵本。赤ちゃん恐竜の可愛くて温かい日常を垣間見る
公開日:2024/4/25
人気コミック『恐竜はじめました』の著者クラナガさんによる初の絵本が登場。『ちいさなきょうりゅう』(KADOKAWA)は、恐竜の赤ちゃん“バブちゃん”がほのぼのと過ごす、ある1日を切り取って描いた作品。絵本の中には、『恐竜はじめました』の舞台・白亜町で暮らすおなじみの恐竜たちもたくさん登場しており、初めて読む人はもちろん、ファンにも嬉しい一冊となっています。
やわらかいふとんにくるまれたバブちゃんの姿が癒し
物語は、朝がやってくるところから始まります。部屋に朝陽が差し込み、そこに見えるのは、ふとんからはみ出たちいさなシッポ。ふとんをめくると、やわらかいシーツの中ですやすやと寝息を立てるちいさな恐竜の姿が現れます。どこに顔があるの? とのぞきこみたくなるような、まんまるの体…。
著者の絵から感じられるのは、曲線のやわらかさ。私たちの身の回りにあるものが優しい視点で表現され、そこに存在するもの、そこで起こっていることのすべてがやわらかい。そんな筆跡から生まれたバブちゃんも、とてもやわらかそうで、いつかさわれたらいいのに…と思わずにはいられません。いえ、さわって起こすようなことはせず、その姿をずっと眺めているのも良さそうですが。
バブちゃん好きにはたまらない“ぱんつ”の8変化
本書には、8種類のお気に入りパンツをはいたバブちゃんが描かれるという、バブちゃん好きにとっては特典のようなページもあります。恐竜柄にみずたま柄、もふもふ…など。バブちゃんのま~るいお尻は、たまらないかわいさです。
眺めているだけでニンマリする優しい世界
朝ごはんを食べたら、一緒におでかけ。階段を下りて、原っぱを歩き、小川をのぞきこんで…。ちいさな恐竜と、ただいっしょに過ごすだけの1日が、こんなに愛おしいなんて。ゆっくりと流れる、ゆたかな時間。何も起こらない町、何も起こらない1日。バブちゃんの嬉しそうな表情が、あちらにも、こちらにも。ちょっとしたことで喜び、嬉しくなってしまうちいさな恐竜たちの笑顔を見ていると、目の前にある物事をじっくりと慈しむことの愛おしさを教えてもらえるようです。
ちいさな恐竜たちの世界といつでもつながっている
ページをめくるたびに、ちいさな恐竜たちが見え隠れして、それを探し出すのも楽しい本書。恐竜たちがいるのは、私たちがよく知る普段の日常ばかり。できれば、恐竜たちのいる世界が、自分たちの暮らす世界とひとつなぎになっていればいいのに。そんなふうに思えたなら、この本を開くことで恐竜たちのいる世界とつながることができます。
あわただしい日々のなかに優しさを吹き込んでくれるのが、著者の描くちいさな恐竜たちの世界の魅力。ほっと一息つきたいときには、ちいさな恐竜たちといっしょに、ひとやすみを。
文=吉田あき