月島のスペイン料理老舗「スペインクラブ」に潜入!/ジャングルポケットおたけの連載「おたけ、もんじゃ、ときどき芸人」

文芸・カルチャー

公開日:2024/5/19

おたけ、もんじゃ、ときどき芸人

皆さんこんにちは。ジャングルポケットのおたけです。お笑い芸人のイメージが強いかもしれませんが、地元・月島で「竹の子」というもんじゃ焼き屋も経営しています。

もんじゃ焼き、そして月島の魅力を伝えるべくスタートしたこの連載。今回はスペイン料理店「月島スペインクラブ」を紹介したいと思います。

え?スペイン?月島ってもんじゃ焼きのお店ばっかじゃないの?と思ったそこのあなた。ナメてもらっては困ります。月島にもあるんですよ、おしゃれなお店が!

「竹の子」から隅田川方面に2分ほど歩くと、西河岸通りの一角に突如として現れるモダンな雰囲気の老舗レストラン「月島スペインクラブ」。創業は1994年。僕が小学校5年生の頃です。当時から存在は知っていたものの、40歳を過ぎた今もなお足を踏み入れたことはありませんでした。

こんなに近所で、こんなに有名なお店なのになぜ訪れたことがないかというと、理由は至ってシンプル。

敷居が高すぎたから!!!

もともと月島の人たち向けじゃなくて、銀座とかに住むお金持ちの方向けに作ったんだと思うんですよね。…多分。

だって当時の月島の人はスペイン料理を知らなかったと思うんですよ。今みたいにグルメサイトもなかったから、外から「これ、なんだろう?」って眺めているだけでした。今はタワマンが増えて住人たちの層も変わったので、やっと月島の人がスペインの雰囲気に追いついてきたんじゃないでしょうか。…多分。

いつか行ってみたいと思っていたものの、なかなか機会がなかった(勇気が出なかった)ので、今回訪問させていただきました。

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▲いざ、謎のベールに包まれた月島スペインクラブへ!

取材を快諾してくださった株式会社スペインクラブの馬場さん、店長の太田さん、ありがとうございます!

お二人からは、月島スペインクラブの創業秘話やこだわりを伺ったので、改めて月島スペインクラブについて(ちょっとカッコつけて)紹介させてください。

倉庫を改装した建物に一歩足を踏み入れると、まるでスペインの街に迷い込んだかのよう。それもそのはず、月島スペインクラブは「スペインの食文化の発信拠点」として1994年にオープンしたのだ。

設計段階から建築家をスペインに派遣したり、食器や什器、調度品、建材、タイルに至るまでほぼ全てをスペインから輸入するなど、徹底して本場にこだわっている。さらに、「素晴らしいスペインの生産者と日本の消費者を結びつけたい」という想いから、スペイン各地の生産者を訪ね歩いて仕入れたワインや食材を提供しているという。また、毎週月曜日には、フラメンコライブも開催。食事だけでなく、目と耳でもスペイン文化を感じさせてくれる。

これらを含む様々な取り組みが高く評価され、2014年には創業者に対し、スペイン国王より文民功労勲章が授与された。いわば、スペインに認められた日本のスペインだ。

“スペインがそのまま引っ越してきた”空間、日本のスペインが、ここ、月島にある。

…どうですか?結構いい感じに紹介できたんじゃないでしょうか。少しでも月島スペインクラブの魅力が伝わったら嬉しいです。

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▲あれもこれも、スペインから持ち帰ってきたもの。ちなみに、入り口の扉はスペインの修道院の扉だそう。

¡Salud!(乾杯!)

取材当日はおすすめの料理をご提供いただいたので、ここからは食レポをしていきます!

乾杯はやっぱりビールですよね。ということで、「アルハンブラ」という地ビールをいただきました。¡Salud!(乾杯!)

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▲「アルハンブラ」は、アンダルシア州グラナダにあるアルハンブラ宮殿の下で作られているビールです。

いやー、おいしい。すっきりとした飲み口で、水のように飲めちゃう。やばい。もう仕事終わりな気分になってきた(仕事中ですけどね)。

「アルハンブラ」はスペインクラブグループでしか取り扱っていないそう。お店に飲みに行くしかない!

最高ランクのイベリコ豚の生ハム「ベジョータ」

ビールで喉も心も潤ったところで、早速生ハムが登場!イベリコ豚の生ハム「ベジョータ」です。

イベリコ豚は豚の品種で、イベリコ・ベジョータはイベリコのランクのひとつだそう。イベリコ豚は飼育方法や品質によって明確にランク分けされていて、最高ランクに位置するのがベジョータ。月島スペインクラブでは、このベジョータの原木自体を輸入していて、定期的に生産者の方が衛生管理の状態を確認しにくるそうです。

最高ランクかつ徹底した品質管理がされているだけあって、すごくきれいなサシが入っているんですよ。写真で伝わりますかね?

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▲生ハムの横に添えられているのはピコス。アンダルシア地方でよく食べられている乾燥パンのようなスナックで、生ハムを巻いて食べるのがおすすめ。

口に入れた瞬間、「うっっっま!!!」って叫んでしまいましたよ。脂がすぐにとろけちゃうんです。手で食べようと掴んだだけで溶けますから。

ちなみにランチで提供されている「イベリコ豚ライス」も絶品だそう。食べたい…。

オリジナルシャーベットがのったスペインの家庭料理「ガスパチョ」

続いて、冷製スープ「ガスパチョ」。スペインの家庭料理で、日本のお味噌汁的なポジションだそう。

野菜スープの真ん中にのっているのは、オリジナルのアメーラトマトで作ったシャーベット。単体でもすごくおいしい。野菜スープは酸味があって(ビネガーが決め手らしい)、シャーベットと一緒に飲むとめちゃくちゃうまい。

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▲シャーベットと一緒にスープを飲むと…

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▲この表情でどれだけおいしいか察してください。

しつこいですが、このシャーベットは本当におすすめなので、絶対に注文してほしい一品です。

白ワイン×希少なオリーブオイルを使用した「アヒージョ」

ここで白ワインの登場!ゴデーリョ種100%の「ネコ・ブランコ」をいただきました。

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▲醸造家のアンデレス氏は大のネコ好きで、「マネキ」と「ネコ」の名前を冠したワインを造ったそうです。

お味はというと…ちょっとおいしすぎて思わず笑っちゃいました。飲みやすいという表現が正しいのか分かりませんが、ワインを飲んだことがない方でもするする飲める感じです。

白ワインが出されたということは…きました、アヒージョ!白ワインには魚介がすごく合いますからね。

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▲「プリップリ海老のアヒージョ」。本当にアヒージョが好きで、取材後に「白子のアヒージョ」も追加注文しました。

めっちゃグツグツしてるけれど、熱いのは平気です。だてに芸人をやっていませんから。ということで、いただきます!

…うーわ、うまさ直球です。

パンもすごくおいしい。密度が高い(穴があまり空いてない)のでオリーブオイルがたっぷり染み込み、美味しさを逃さないんだそう。しかも崩れないから、ひたひたに浸けても食べやすい。さすがです。

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▲取材中食べた中で敢えて一番美味しかったものを選ぶとしたら、アヒージョでした。

アヒージョは具材とオリーブオイル、にんにく、塩少々というシンプルな素材だからこそ、素材の質が美味しさを左右します。

オリーブオイルは、酸度が低いほど高級品と言われているそう。酸度とは、オイルの鮮度を示す数値で、オリーブの実を摘み取ってからいかに早くオイルに精製するかで決まると言います。

そしてオリーブオイルの中でも最高品質のエクストラヴァージンの酸度は0.8以下ですが、月島スペインクラブで取り扱っているエキストラヴァージン・オリーブオイルの酸度はなんと0.2以下!要はめちゃくちゃフレッシュなんです。

そりゃおいしいわけだ、と納得です。

ちなみに店舗がオープンした30年前、アヒージョは「陶板焼き」と言われてたんですが、「アヒージョ」って名前で売り出したのはなんと店長!こんなところにアヒージョの生みの親がいました。(「元祖」とか「生みの親」は言ったモン勝ちなので、ガンガン言いましょう!とお伝えしました)

赤ワイン×羊肉の概念が変わる「チュレタ(ラムチョップ)」

さあ、だんだんここが月島だということを忘れてきました。完全にスペインです。

続いて運ばれてきたのは「スペイン産メリノ種仔羊のチュレタ(ラムチョップ)」。

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▲今回は「レセンタル」という、生後約3ヶ月の仔羊をいただきました。

羊特有の臭みがない、というか、むしろほのかにいい香りがして…うん、おいしい。骨のまわりの部分が特においしい。赤ワイン「モンテアベジョン・クリアンサ」とのペアリングも最高です。最高すぎて、サイコッチョーを言いそびれました。

実は、スペイン産羊肉の輸入が解禁されたのは2020年1月だそう。それまで日本の羊肉市場は、オーストラリアとニュージーランド産の「ラム(生後1年未満)」がほぼ全てを占めていたそうですが、解禁に伴い月島スペインクラブではスペイン産メリノ種の仔羊肉「コルデロ・レチャル(乳飲み仔羊)」と「コルデロ・レセンタル(生後約3カ月)」を日本で初めて直輸入して提供を開始したと言います。

まだ味わったことがない方、羊肉の概念が変わるかもしれないですよ。

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▲羊肉の概念が変わった瞬間の表情です。

月島スペインクラブは、月島レベルを超えたお店

今回生まれてはじめて月島スペインクラブを訪れた感想を一言で言うと、「月島のレベルじゃない」。もちろんいい意味で、ですよ。

もともと倉庫だった場所をお店に改装して、もんじゃ焼きのイメージしかない月島で30年間スペイン料理店を続けているのは、本当にすごいことだなと思います。飲食店経営をしている立場から見ると、なおさらそのすごさを感じます。

立地的にも難しい場所なんですよ。月島の角だし、僕が若い頃は若者がたむろして、やんちゃしてるようなスペースが近くにあったんですね。だからたまたま前を通りかかることはないんです。ピンポイントで月島スペインクラブに行く人しか通らないので、長く月島に住んでいても意外と謎のベールに包まれているお店なんですよね。

けど、今日来てみたら、まさにスペインがそのまま引っ越してきたような、今の時代にあまりないダイナミックなお店で、すごく魅力的だなと感じました。月島にも、こんな素敵なお店があるぞー!って自慢したいです。

「竹の子」から徒歩2分。ぜひスペインの食文化を堪能しに行ってみてください!

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▲¡Gracias por la comida!(ごちそうさまでした!)

月島スペインクラブ
住所 〒104-0052 東京都 中央区 月島1-14-7 旭倉庫1F
電話番号 03-3533-5381
アクセス 地下鉄有楽町線・大江戸線「月島駅」7番出口 徒歩2分
営業時間、定休日など最新情報は店舗HPをご確認ください。
<第5回に続く>
https://spainclub-tsukishima.com/