1人でも手一杯だけど… やっぱりほしい! 2人目育児の不安や葛藤を描いたコミックエッセイに共感の嵐!
公開日:2024/8/6
はじめての育児に奮闘中の家庭では、2人目をどうするかについて考えることがあるのではないだろうか。今の日本で2人の子どもを育てるのは、決して簡単なことではない。もう一度産休や育休を取ることによる仕事への影響や子どもの教育資金など、さまざまな要因が絡むとても難しい問題なのだ。
『正直 余裕はありません。 いっぱいいっぱいだけど2人育児楽しんでます』(あね子/KADOKAWA)は、そんな2人目育児の不安や葛藤を描いたコミックエッセイだ。作者のあね子さんの経験がありありと描かれているので、子育て中の人には共感しかないだろう。長子を育てている中で2人目を育てたいけれど現実的なことを考えて悩んでいるという人には、ぜひ読んでもらいたい。
長女のメイ子を出産して2年。子育てにも慣れてきたころに、あね子さんはきょうだいが必要かどうかについて悩んでいた。妊娠・出産が大変だったことはもちろん、これまでの育児で身体も心もいっぱいいっぱいになっていたのだ。そんな辛い記憶から逃げるように保留にし続けてきたのだが、自身が三姉妹の中で楽しく育ってきたこともあり、2人目を育てることを決意する。周囲へのヒアリングの結果「入園・入学が被らない」「長女の手がかからなくなっていそう」という理由から4歳差のきょうだいを目指すことに。
どうせなら子どもの性別は一姫二太郎が良いと考えたあね子さん。タイミング取りとサプリメントを活用して、男の子の産み分けに挑戦する。確実な産み分けは不可能だといわれているので、生まれてきた子が希望の性別でなくても分け隔てなく愛することが大切になるそうだ。実際、あね子さんも産み分けのために努力したものの、授かったのは望んでいた男の子ではなく、女の子だった。
2人目が男の子でなかったことを素直に受け入れられなかったあね子さん。その気持ちの背景には、あね子さんの父が男の子を強く求めていた記憶があった。髪型や服装を親に決められ、女の子であることを大切にしてもらえなかった自分の経験が男の子を望む気持ちへつながっていたのだ。子どもは2人までだと決めていたので、あね子さんは「もう男の子は育てられないのか…」と感じていた。そんな素直な悩みを見ると、出産や子育てには当事者以外には感じられない葛藤があるのだと思い知らされる。
自分とは同じ気持ちを味わわせたくないという思いは、無意識に性別へのこだわりという形で表われていたのだろう。しかし、あね子さんは妊娠中や出産後の長女と次女との関わりを通して「姉妹いいね」と思えるようになる。
育児や家事に思い悩む女性には、完璧にしなければいけないと思っている人も少なくないだろう。家が汚くても人は死なないのだから、完璧でなくても「子どもが元気ならOK」という気持ちが大切なのだ。そのおかげで、1人目はあね子さんのワンオペだった育児も、2人目を育てるときには夫の協力を得られるようになっていた。もし家事や育児の負担に思い悩んでいる人がいるなら、あね子さんのようにまずは無理をしないことからはじめてみてもらいたい。
本作はきれいごとのないリアルな悩みが描かれているので、育児中の人にとって共感しかない作品だ。たとえ余裕がない生活になったとしても、2人の子どもたちに癒やされて愛される生活の中には幸せが詰まっているのだと思える。
あね子さんと同じように2人目の壁に悩んでいる人は、本作を参考にしてしっかり配偶者と話し合ってほしい。そして、もし2人目を育てることを選んだのなら、夫婦で協力しながら無理せず楽しく育児してほしいと思う。