もっと自由に楽しんでいい! 初心者でも気軽に着物を楽しむための極意が詰まったマンガ『推し着物』
公開日:2024/7/22
街で着物を着ている人とすれ違ったとき、思わず目を惹きつけられたことはないだろうか。伝統的で華やか、ピンと背筋を伸ばして街を歩く姿はまさに粋そのもの。着物って素敵! でもルールも着付けも難しそうだしなによりお金がかかりそう。ハードルの高いイメージからいつか、と思いつつもなかなか行動に移せないでいる。そんなあなたへお届けしたいマンガが『推し着物』(岡野く仔/竹書房)だ。
著者の岡野く仔先生ご自身も、着物を愛用している着物推しのひとり。本作は押さえておきたい着物の知識や魅力を初心者にも分かりやすく教えてくれつつ、着物に対する先入観やハードルをひとつずつ丁寧に取り払ってくれる。そんな『推し着物』からいくつか着物を楽しむためのポイントを紹介していきたいと思う。
着物というと七五三や成人式など晴れ着のイメージがある。フォーマルな場での晴れ着は間違いなく素敵である。しかしせっかく着物を揃えるなら気軽にたくさん着たい、街歩きに使ってみたい。そんな人は小紋の柄の着物を選ぶとよい。高価なイメージのある着物だが中古品やポリエステル素材のものなどリーズナブルに手に入るものも多く、生地の素材によっては洗えるものだってある。かつて日本人は晴れ着としてだけでなく普段着としても着物を着ていた。小紋は普段着! これを覚えて是非街歩き用の着物をゲットしてほしい。
着物は素敵だけど動きにくそう、草履や足袋だと足が痛くなる。こういった不安も着物へのハードルをあげている原因のひとつだと思う。そんなときには思い切ってブーツやスニーカーを合わせてみるのはどうだろうか?
もちろん着物には知っておきたいルールもあるが、友人と遊ぶとき、普段着として楽しむときなどは着物と好きなものをかけ合わせて、もっと着物を自由に楽しんでほしい。今日何着ようかな? そんなときの選択肢のひとつに着物が加わればファッションの幅はぐっと広がりそうだ。
『推し着物』の登場人物たちは着物を通して自分の感情と向き合い、自分らしく輝いていく。着物を楽しむ人には初心者、上級者、正統派、個性派、いろんな人のそれぞれのスタンスがあるが、本作を読んであらためて感じたのは自分が心から好きなもの、ときめくものを堂々と身に着けている人は老若男女問わず魅力的だということ。
新しい世界に踏み込むことは誰にとっても勇気が必要で、ついできない理由ばかり探してしまいそうになる。しかし好き、ときめく、そんな自分の感情を前向きにとらえて大切に育てていくことは人生をもっと豊かにするのではないだろうか。着物にときめいたことがある皆さん、『推し着物』を読んでいつかではなく是非これから着物にチャレンジしてほしい。