みおりんが教える「わたしの読書記録術」――なおにゃんさんの『今日も一歩も外に出なかったけどいい一日だった。気にしすぎさんが自分軸を作るまで』を読んだあとに。

文芸・カルチャー

公開日:2024/5/12

新しい本を1冊読む度、過去に読んだ本の記憶は少しずつ薄れてゆくものです。
あんなに心を揺さぶられたはずなのに、気が付けばさっぱり思い出せない——。

そんな経験がある方におすすめなのが「読書記録」。
いつどんな本を読んで、何を感じたのか。それらを整理しておくことで、1冊1冊から得た感動をいつでも思い返すことができます。

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このコーナーでは、毎回特別なゲストをお招きして、とっておきの「読書記録術」を教えていただきます。
記録の仕方もこだわりも各人各様。思わずまねしたくなるアイデアに出会えるかもしれません。

本を閉じたあとに始まる、「読書時間のつづき」を一緒に味わい尽くしましょう。

みおりんが教える「わたしの読書記録術」

ゲストのご紹介

みおりん
勉強法デザイナー。地方から自宅浪人で東京大学に合格した経験をもとに、子どもから大人まで使える「ごきげん勉強法」を発信中。著書に『大学合格を引き寄せる! 東大卒がおしえる 逆転おうち勉強法』(KADOKAWA)などがある。
幼いころから本が大好き。最近は小説・エッセイからビジネス書、絵本まで幅広いジャンルの本を年間100冊ほど読んでおり、読んだ本や読書術を時折YouTube「みおりんカフェ」やブログで紹介している。

今回記録する1冊

今回選ばせていただいたのは、なおにゃんさんの『今日も一歩も外に出なかったけどいい一日だった。気にしすぎさんが自分軸を作るまで』です。

なおにゃんさんはXで、気持ちが楽になる言葉にゆるいイラストを添えて発信されている方。生きづらさやメンタルのことをテーマにした投稿が幅広い共感を呼んでいて、2024年4月時点で24万人以上のフォロワーさんがいらっしゃいます。

今回の本は、『100年後にはみんな死んでるから気にしないことにした』につづくイラストエッセイ。タイトルとやわらかいイラストに惹かれ、手に取ってみることにしました。

わたしは子どものころから、自他ともに認める「気にしすぎ」「気を遣いすぎ」の人間。いわゆるHSP・繊細さんといわれる気質をもっています。

さらに、HSPのなかでもやや特殊なHSS型HSPというタイプでもあるので、「すごく社交的なのに、すごく内向的」「やりたいことが死ぬほどたくさんあるけど、とにかく面倒くさがり」「不安を払拭するために行動しつづけるし、目標を達成しても満足がつづかない」のような厄介な性質を多数抱えています。

……というのもあって、常に活動していないと自分を認めてあげられないわたしは、一日じゅう外に出ない日があるとすごく落ち込んでしまいます(どんな気質の方でも大なり小なりあると思いますが)。わたしの場合、家から一歩も出なかった日というのはたいてい朝から寝坊してそのままだらだら過ごし、気づいたら夕方になっていた、みたいな日なので、「今日なにもできてない…」という強い自己嫌悪に駆られてしまうのです。

だけど、べつに一歩も家から出ない日だって、だらだら過ごしてしまった日だって、誰かに迷惑をかけているわけではないのだし、こんなに自分を責めたくないのにな。そんなふうにいつも思っていたので、この「今日も一歩も外に出なかったけどいい一日だった。」というフレーズは、それだけで心が楽になるものでした。

「読書記録術」を大公開!

読書の記録に、わたしは3つのツールを使っています。

1. 読みたい本や読んだ本を記録するための「読書メーター」アプリ

数年前から「読書メーター」というアプリを使って、本の管理をしています。使い方の流れとしてはこんな感じ。

読みたい本が出てきたらアプリの「読みたい本」に追加
実際に本を買ったらアプリの「積読本」に追加
40%くらい読み進めたらアプリの「読んでる本」に追加
読み終わったらアプリの「読んだ本」に追加し、ジャンルごとにアプリの本棚に振り分ける

③で、読みはじめではなく40%ほど読み進めてから「読んでる本」に追加するのは、これくらいまで読めば読了する確率が高いからです。わたしの場合、挫折するときは10〜30%くらいのところで手が止まってしまうのですが、「読んでる本」のところには読了予定の本だけを入れておきたいので、このような基準を設けています。

ただ、最近は本を買うとすぐに読み切ってしまうことも多いので、実際には「①→④」と一気に飛んでしまうこともしばしば。昨年(2023年)はこの手順で年間ちょうど100冊の本を読むことができました。

2. 読書ペースがビハインドしているときに使う「やることふせん」

昨年100冊の本を読んだと書きましたが、もともとの目標冊数は80冊でした。

ですが、8月末時点での読了数は45冊。1年で80冊読むためには53冊程度のペースで読んでいないといけないので、少しビハインドしてしまっていました。

そこで活用したのが、写真にある「やることふせん」です。本来はToDoリストを作るのに使うふせんですが、9月から読んだ本のタイトルを、読了日とあわせて書き込むことにしました(読書メーターのアプリも併用)。

このように可視化すると、目標ペースに対していまどれくらい進捗しているのかがひと目でわかるのでとても便利です。着実に進んでいる感もあり、モチベーションも上がりました。

3. 本の内容を記録するための「読書ノート」

普段読む本のうち、内容を特に覚えておきたい本については、簡単な「読書ノート」を作っています。

今回作った読書ノートはこちら。

読書ノートの作り方は以前の連載でご紹介させていただいたので、そちらもあわせてご覧いただければうれしいです(写真付きで詳しくお話ししています!)。

みおりんが教える「わたしの読書記録術」第1回はこちら

③読書記録のこだわり・ポイント

今回作った読書ノートについて、少しご紹介させていただきます。

今回の本は自分自身が参考にしたいという思いに加えて、フォロワーさんたちのお悩み解決にも役立てたいという気持ちがありました。そこで、本を読む段階で2色のふせんを用意し、

●ピンクのふせん → 自分自身の参考にしたいところ
●ブルーのふせん → フォロワーさんへの発信の参考にしたいところ

と色分けすることにしました。

勉強の楽しみ方を発信しているわたしのフォロワーさんは、下は小学生から、上は社会人(定年後の学び直しをされている方もいます)まで幅広い年代の方がいらっしゃいますが、特に多いのは中高生の女の子です。そうした子たちから毎日のように、「周りと比較して落ち込んでしまう」「自己肯定感が低い」といったお悩みをいただいています。

この本はそんなお悩みにもよりそってくれる内容だと思ったので、これからの発信に役立てられそうなマインドを学ぼうと考えました。

本を読み進めながら、気になったところにピンクまたはブルーのふせんを貼っていきます。それが終わったら、ふせんを貼ったところをノートに簡単に記録していきます。

今回は左ページを自分自身の参考用(「To Me」と見出しをつけました)、右ページをフォロワーさんのための参考用(「To My Followers」と見出しをつけました)としてまとめることに。こんな感じの読書ノートができました。

わたしは毎月読んだ本をまとめて紹介する読書記録記事をブログにアップしているので、「この本はこんな人におすすめしたいなぁ」というメモも入れておきました。

書籍紹介

今日も一歩も外に出なかったけどいい一日だった。 気にしすぎさんが自分軸を作るまで
著者 なおにゃん
発売日:2023年11月09日

半径5メートルが幸せであればいい。自己肯定感低めの人へ贈るヒント。
人の目が気になるけど、自分の「好き」を貫きたい。だれかと仲良くしたいけど、人付き合いが苦手。
そんな矛盾した気持ちを持って、生きている人は多いはず。
そうした気持ちに寄り添い、自己肯定感低めの人に「こうしたらラクになるよ」とヒントをくれる、
『100年後にはみんな死んでるから気にしないことにした』に続く、なおにゃんさんの最新イラストエッセイ。

X(旧Twitter)にメンタルや生きづらさをテーマに投稿し、共感を呼んでいるなおにゃんさん。
本書は、そんななおにゃんさんが、最近気づいたことと、過去を振り返って今思うことをまとめたイラストエッセイ集です。

生きづらさを感じながら暮らしてきたなおにゃんさんですが、
最近は少しずつ克服したり、平気になったことも多いといいます。それは小さな「気づき」があったから。
ご自身のエピソードをもとに、自己肯定感低めな人の誰しもが心当たりがある辛いシチュエーションをどうやったら
明るく乗り切れるかをエッセイにまとめました。

<こんな方におすすめです>
・自己評価が低く、自分に自信がない
・他人からどう見られているかが気になる
・親や家族とうまく関係が築けない
・友達が少ないことを気にしている
・不器用さから生きづらさをつねに感じている

詳細ページ:https://www.kadokawa.co.jp/product/322305001098/
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