人気鍼灸師が1万5000人を治療する中でたどりついた、体の内側から健康でキレイになる最強の食事法
公開日:2024/5/15
病気になって治療をしても、食生活や生活習慣を変えなければ、本物の健康は手に入らない…。
そう考えていた鍼灸師の田代健斗さんが、健康に関する世界の最新データから導き出した最強の食事法と栄養学を紹介しているのが、『はじまりのサラダと栄養学 「食べる」の本質を解いた新しい食事法』(田代健斗/KADOKAWA)だ。
本書では、病気にならないための栄養学の知識が身につくだけでなく、食べるほどに健康になり体が若返る最強の食事「はじまりのサラダ」を毎日食べられるように、つくり置き方法まで紹介してくれているのが、嬉しい! インスタグラムで「サラダ王子」と呼ばれ、最強の食事法を実践しながら栄養学を発信し、最高の体調をキープしている田代さんに「食べる」の本質について伺った。
——田代さん自身、数年前から野菜中心の生活にして劇的に体調が変化したそうですが、どんなきっかけから食生活を変え、どんな変化があったのでしょうか?
田代健斗さん(以下、田代):きっかけは自分自身の体調不良です。ストレスや過労で胃腸の調子が悪くなり、病院を受診したのですが、結局、対症療法しかなく、病院では不調の根本的な解決はできないと悟ったんです。それで健康に関するさまざまな文献を調べ進めました。
まずは食事から改善することにしたところ、圧倒的に足りなかったのは野菜。そして食物繊維と微量ミネラルやビタミン類を補うことが必要でした。
同時に脂っこいものやお酒を控えたら格段に体調はよくなっていき、食べるものから体調がここまで変わるのか!と実感。「今までの自分は、なんてカラダを痛めつけていたんだろう!」と大反省しました(笑)。
——栄養学には、以前から興味があったのですか?
田代:学校で習う栄養学は鍼灸師である僕も習ってきたわけですが、改めて太古から続く食の歴史と最先端の栄養学までを紐解いてみると、すごく面白かったですね。
そこで、「この食品の栄養価は?」「この食品は安全か?」「牛乳は飲むべきかどうか?」といった疑問が出てきたときに、栄養学の研究論文を調べるようになりました。そうすることで、自分でも納得感をもって食べるものを選べるようになり、患者さんへの有益な栄養指導をしていくことができるようになりました。
——そうして学んだ栄養学をまとめたのが、本書ということですね。
田代:そうです。そして、その栄養学をもとに、最高にアンチエイジングなカラダに良いワンボウルの食事を考案し、「はじまりのサラダ」が出来上がったわけです。
「このサラダから、あなたの健康がはじまるように!」と「はじまりのサラダ」と名づけましたので、本書をきっかけに健康を意識する方が増えれば、こんな幸せなことはありません。
——「野菜や果物を多く食べるとメンタルが強くなる」ということが科学的に実証されていると書かれていて驚きました。田代さんご自身もメンタルが強くなったと実感されていますか?
田代:メンタルは格段に強くなったと思います。「カラダに不調がない」というのは、カラダに注力しなくて良い分、常にココロにフォーカスできるということです。
だから、すごくココロに余裕ができたと思いますし、その余裕がこうやって発信することに繋がり、一冊の本になるまでになったのだと思います。自分に余裕がなければ、人に施しや影響など与えられませんよね。
これは僕のフォロワーさんにも言えることで、何十年も過食と拒食を繰り返していた摂食障害の女性の方が、僕のレシピ「はじまりのサラダ」を食べるようになって、カラダが栄養や満足感で満たされ、自然と拒食も過食も落ちついたのだそうです。
彼女は自分自身でもこの変化をびっくりしていて、今では栄養をしっかり摂ることを覚え、たまに誘惑に負けそうなときもあるけれど、とても前向きに日々を過ごすことができていると言っています。野菜の力はすごいです。
——美味しいものであふれている今の時代ですが、石器時代の野菜中心の食事のほうが健康的だったというのは皮肉なことですね。
田代:そもそも人間には、体温も血圧も血糖値もコレステロール値も、一定に保つための素晴らしい機能が備わっています。体重ですら自動的に代謝と食欲をコントロールできる機能があって、太っても元に戻るはずなんです。
現在も旧石器時代と同様の狩猟採集生活を送っている人々は、肥満や糖尿病などの代謝性疾患が一切ありません。旧石器時代の不健康とは、”慢性的“な不調はなく、感染症にかかったときだけ。つまり”急性的”なものだけでした。食事から不健康になるなんてことはあり得なかったんです。
だから健康になるのは至極簡単で、現代的な食生活をやめて、狩猟採集時代の食生活をするだけなんです。答えはもうそれ以上でもそれ以下でもありません。
でも、美味しすぎる加工食品があふれる現代で、狩猟採集時代の食生活を続けるのは難しい。だから、みんなやっていないし、不健康で悩む人が増え続けているわけです。
この本では、現代の生活も尊重しつつ、食べるものを選ぶ方法、そしてその選んだものをどのように調理するのかを、レシピも含めてなるべくわかりやすく伝授しています。
——今、食べるものを選ぶときに、一番大切にすべきこととは何でしょう?
田代:シンプルに言えば、「自然なものをありのままに」食べていれば大丈夫です。なぜなら、僕たちが599万9900年間そうやって生きてきたのですから。
でも、カラダを傷つける食べ物や食べ方だけは覚えておいてほしいです。最大の要因は糖化と酸化。糖化は糖を取りすぎなければまだ大丈夫なので、酸化が一番厄介ですね。
酸化とは脂質やタンパク質の酸化を示しますが、これらは不安定なフリーラジカル、活性酸素を出現させて、カラダの正常な細胞を傷つけ、DNAを折り曲げたり、本来の免疫力を下げたりを直接行ってしまうんです。全ての不調はここから来ているといっても過言ではないですし、近年の順天堂大学の発表でも、痩せた若者の糖尿病のリスクが肥満の方より上がっています。
これはジャンクフードやお菓子などでお腹を満たし、そもそもの食べる量(摂取カロリー)を制限することで体型を維持しようとすると、酸化した油がカラダを傷つけ、痩せているのに不健康になってしまうということの現れです。
とにかく、酸化していない良質な脂質。そして良質なタンパク質を摂るように心がけたいですね。
——この本には、田代さんが考案した「はじまりのサラダ」を毎日食べられるように、つくり置き方法が紹介してあります。サラダ生活を続けていくためのアドバイスがあれば教えてください。
田代:まずは1週間分のサラダのつくり置きを是非! そして「はじまりのサラダ」を食べたときに、「たくさん食べたのに、なんでこんなにカラダが軽いんだろう」と感じるはずです。
同時に「カラダにいいことをしている」とポジティブな感情が湧いてくると思います。一度食べただけでも「満腹なのに罪悪感がない」「カラダが浄化されるような感じ」という前向きな感情が起きると思いますので、まずはこの感動を味わってください。
もしも続かなくなったとしても、その感動に戻ってくればいいだけ。だからまずは、一度でいいのでこの感動を味わってください。
取材・文=丸山佳子 写真=鈴木泰介