自分の幸せを奪った母娘に16年分の制裁を!痛快な復讐劇を描くヒューマンサスペンス「復讐の時間」
PR 公開日:2024/5/18
大好きな母も、家族の幸せも奪われた──。自分を不幸にした母娘からすべてを取り戻すため、血の滲むような努力を重ねた主人公。そんな彼女が16年間の積み重ねを経て果たす痛快な復讐劇を描いたのが、『復讐の時間』(佐藤猫:漫画、前田留依:原作/DPNブックス)である。
本作の主人公・琴葉は社長である優しい父と、美人で料理研究家としても有名な母の間に生まれ、何不自由ない生活を送っていた。しかしある時、母のアシスタントでもあった女性・みきと父の不倫、そして彼女の娘・あげはが腹違いの妹であることが発覚。その事件を境に、母親は琴葉を残し家を出ていってしまう。
母に置いて行かれた絶望と、それにさらに追い打ちをかけるように、後妻としてやってきたみきと娘のあげは。残された琴葉に対し、様々な形で陰湿な嫌がらせを行うあげは。巧みに弱者を装う彼女の言葉と振る舞いに、琴葉はどんどん居場所を奪われ追い詰められていく。
そんな状況に絶望し自殺を選ぼうとした琴葉を支えたのは、彼女の母の親友でもあった留利だった。彼女の調査によって、みき・あげは母娘の周辺で、不審な失踪が相次いでいることを琴葉は知る。あのふたりによって、自分の母の身にもなにかがあったのでは──。そう考えた琴葉は自分や母を不幸にしたみき、そしてあげはへの復讐を決意するのである。
数年後。血の滲むような努力を重ねた琴葉は、幼少期とは見紛うほど美しい女性として成長していた。デザイナーの仕事でも高い評価を受け、その活躍を見た父親が自社に彼女を引き抜きたいと申し出てくる。
彼の会社ではみき・あげは母娘も事業に大きく関わる立場になっていたが、ここ数年は業績が振るわず右肩下がりのまま。事業の立て直しと母娘への復讐。2つの目的を成し遂げるための、琴葉の活躍劇がここから始まることとなる。
身勝手に富や地位を求める母娘によって不幸にされた主人公・琴葉。特に彼女から家族・そして友人までも奪おうと画策する娘・あげはの悪どさには、物語を追う中で強く嫌悪感を抱く読者も多いことだろう。
可憐で少女らしい自らのルックスを活かし、周囲の人間をすべて味方にしていくあげは。騙される周囲の人や、不信感を覚えながらも彼女の言いなりとなってしまう許嫁・修吾の気の弱さにも、見ていてイライラする! と思う人もきっと大勢いるはずだ。
しかしそんなあげはの嫌がらせにも屈することなく、琴葉は強く凛々しく立ち上がる。
洗練されたルックスのみならず、幼少期の固く強い決意を貫き通す。その果敢な内面にこそ、女性としての真の美しさを感じることも大いに違いない。
とはいえ、みき・あげは母娘もまた、伊達に自分たちの幸せのために大勢を踏み台にしているわけではない。ここまで好き放題に生きている彼女たちでも、その犯した悪事やねじ曲がった本性に気付いている人間はまだまだ少ない。むしろ周囲の重要人物を巧みに騙し、ふたりは依然その富や権力をほしいままにしている状態だ。
そんな彼女たちに対し、自らの幸せを取り戻すため。たゆまぬ努力や情報収集を続けここまで辿り着いた琴葉は、一体どのような形で彼女たちの鼻を明かすことになるのか。確かな証拠や、そして大勢の協力者の助けを借りて、16年間にも及ぶ壮大な復讐劇を遂行する琴葉の活躍を最後まで見届けたい。読んだあとは爽快な読後感が待っている、そんな作品だ。