「失礼じゃないですか?」“偏った恋愛観”を持った男の人格を矯正する、新感覚ラブコメ
PR 更新日:2024/8/6
AIなど人工知能が進んだ現代でさえ、「恋」について悩む人は少なくないだろう。相手の気持ちを想像して思いやることは、決して簡単なことではない。実際、自分の知見や経験だけで判断し、独りよがりな感情を押し付けてしまい、間違った恋をしている人も少なくないのではないだろうか。
『恋は忍耐』(川西ノブヒロ/集英社)は、そんな“偏った恋愛観”を持った男子生徒たちの人格をヒロインが矯正していく、新感覚ラブコメディだ。「間違った恋」を押し付ける男子生徒の姿を見ると、ハッとさせられることもあるだろう。ぜひ、自分の価値観と照らし合わせながら、この物語を楽しんでみてもらいたい。
本作の舞台は、東京の北の端にある都内屈指の元男子校「英凜(えいりん)高校」。記念すべき共学化して初年度の女子生徒は、たった5人だけだった。そんな英凜高校に入学したヒロイン「一渡瀬七日(ひととせなのか)」は、クラス唯一の女子として他の男子生徒からの視線を集めていく。
多くの男子生徒が「モテたい」「彼女がほしい」という下心を胸に見つめる中、クラスメイトの宝城晴也(ほうじょうはるや)が動き出す。直ぐにがっついてしまうと嫌がられると判断した晴也は、「この学校で決して恋をしないこと」が、七日が幸せになる方法だと言って周りの男子をけん制した。
一見女性の扱いに慣れているように見える晴也。しかし、ここでポイントになるのは、晴也の「幸せ」という発言だ。哲学的な話であるが他人の幸せとはなんなのだろうか。少なからず、他人が勝手に決められるものではないだろう。しかし、晴也は「恋は気配り」だと主張し、自分と一緒にいることこそが七日を幸せにするのだと決めつけていた。
自分の偏見を押し付けることを「リードしている」と思い込んでいる晴也。理想のタイミングで七日にキスしようとするも、七日はそんな晴也を「失礼じゃないですか?」とぶった切る。まるで変身シーンの決めセリフのような言葉を皮切りに、不思議な空間の中でサキュバスの格好に変身し、怒涛の人格矯正を繰り出していく。
これまでの考え方は「傲慢」だと指摘され、あっという間に追い込まれる晴也。七日の言う通り、「私の幸せは私にしかわからない」のだ。他人の幸せを自分のものさしで勝手に決めつけて、押し付ける恋は間違っているのだろう。七日に考え方を矯正されていく晴也は、「私たちおしまいだね」という必殺技により、間違った恋とリビドーから解放される。
そして、七日の人格矯正により、晴也は偏った価値観から抜け出し、等身大の男子高校生に生まれ変わっていく。
ラブコメディのはずなのに、ヒーローの勝利確定演出のような爽快感が味わえるのもたまらない。スカッとする展開に、思わず続きを読みたくなってしまうはずだ。さらに、見逃せないのが矯正タイム中の七日のちょっぴりセクシーな衣装である。制服姿では清楚な雰囲気なのに、晴也を追い詰める世界の中ではガラリと変わった姿を見せてくれる。次回はどんなコスチュームで矯正してくれるのか、ワクワクさせられるのも楽しい。
男子生徒たちを矯正する七日の正体とは、そしてその目的は何なのか――。今後の展開から目が離せない。
本作は、2024年5月17日に待望の第1巻が発売された。1巻では描きおろしオマケマンガもたっぷり楽しめるので、ぜひ手に取ってもらいたい。