ラオスでもち米のおいしさに感動し、トルコで唐辛子のピクルスにドハマリ! 世界を旅して出会ったローカルフードの魅力
PR 公開日:2024/6/1
コロナ禍がいち段落して、やっと旅ができそうになったかと思いきや、空前の円安時代に突入した現在。なかなか海外旅行に踏み切れない人も多いのではないだろうか。海外のすてきな場所を訪れたい、そしてその土地ならではのおいしいものを食べたい! そんな欲求を充たしてくれる本が発売された。
著者の低橋さんは、バックパッカー界では知る人ぞ知る人物。20代後半で一念発起して世界一周ひとり旅に挑戦して以来、旅することに軸足を置く生き方へとチェンジ。旅の様子を綴ったブログ「わたりどりたまに飛ぶ」が人気を集め、旅人兼ブロガーとして活躍している。
そんな低橋さんが世界各国で出会ったおいしくて、ちょっと変わった料理を紹介する、「楽天レシピ」で連載されていたマンガが『世界思い出旅ごはん ローカルフードを食べ歩き!』(主婦の友社)として書籍化。掲載されていた内容に加筆修正に加え、描きおろしマンガにエッセイも大幅に追加されている。
ブルガリアの「ヨーグルト」やタイの「マッサマンカレー」など知名度の高いものから、バングラデシュのおやつ「フスカ」に台湾の「臭豆腐」といった耳慣れないものまで。登場する料理は、どれもこれもおいしそう。
著者が実際に食べて、感動したり驚いたりの体験が込められているだけに料理の絵には気持ちが感じられる。旅の模様や地元の人びととの交流も、生き生きと綴られている。
ラオスでは、参加したトレッキングツアーの食事で出された蒸したもち米「カオニャオ」の素朴なおいしさに目を輝かせ、ハンガリーではパプリカを使った伝統料理「グヤーシュ」を食べたことで長年のパプリカ嫌いを克服。トルコでは、唐辛子のトゥルシュ(ピクルス)のジューシーな辛さにドハマリして一瓶ぺろり。その結果、お腹を壊してしまったりも。
そんなエピソードのひとつひとつに、くすりとさせられる。
飽くなき好奇心と行動力の赴くままに、著者はさまざまな国を訪れる。そしてその土地の料理を、その土地の人たちと共に食べているからこそ、こんなにもおいしそうに感じられるのだろう。
知らないものを恐れるのではなく、知らないからこそ知ってみたいというその姿勢。著者の旅ブログが多くの人に愛されている理由はきっと、こうした偏見のない目で旅をしているからではないだろうか。
また、いくつかの料理は、著者が実際に作ってみた再現レシピが掲載されている。なかでも旅先で出会った韓国の人から伝授されたキムチのレシピは、なんともおいしそうだ。手間ひまをかけた分だけ、いいキムチができるということを教えてくれる。
バックパッカー旅なので、出てくる料理は基本的に屋台ごはんや市場のものや、宿での食事といった気軽なものが多い。いわゆるグルメガイドのような名店紹介もない。だが、それがいい。高級なレストランで饗される“観光客”向けの現地料理とは異なる、旅先での空気や情景、出会った人たちとの交流も含めての一期一会のおいしさが詰まっている。
読んだらリュックを担いで旅に出たくなること間違いなしの一冊だ。
文=皆川ちか