ペットとの生活は楽しいだけじゃない! お茶目シベリアンハスキー&猫とのリアルな日常を描くマンガ
公開日:2024/7/23
『猫とハスキーとハマジ』(竹書房)の著者であるハマジ先生のSNSでは、タイトル通り愛猫と愛犬に囲まれて生活する様子が公開されていて、その愛くるしい表情に癒される。
ハマジ先生が飼育している愛犬・シル、シャンテの犬種はシベリアンハスキーだが、世間一般の強面なイメージとはかけ離れた愛嬌あるお茶目な性格であることが本編からもうかがえ、思わず笑みがこぼれる。
愛猫の大吉、イサム、ウララ、レイ、ユウヒと亡くなった小鉄たち6匹の個性あふれるエピソードも見ごたえ十分!
時々、ハマジ先生をはじめ、SNSで愛犬や愛猫を公開する人を見かける度にペットを飼うことへの憧れが湧き起こり、「犬や猫を飼ってみたい」と思うことがある。ペットを飼育した経験がある人には「ペットを飼うって大変なことだよ?」と言われたことがあったが、その「大変さ」については漠然と理解しているつもりだった。だが、『猫とハスキーとハマジ』を通して「大変」の二文字にどれ程の重さがあるのかを知ることになる。
本作では序盤で「生き物」を飼う責任を全うするために絶対に必要なものを現実的に伝えてくれている。
まずは「体力」。作中、ハマジ先生がトレーナーに「ハマジさんの体力をつけて下さい」と指導される場面がある。これはしつけの際に体を押さえつける必要もあるためで、トレーナーのアドバイスを受けて懸命に体力をつけて飼育に奮闘する様子が描かれていた。また、散歩中や家の中でのアクシデントで、ハマジ先生をはじめ、家族自身が骨折に見舞われるなんてことも多々あるようで、鍛えて強靭な身体にしておくことに越したことはないそうだ。
次に「お金」。ペットには人間のような公的医療保険が適用されないため、医療費は高額だ。シルが健康な様子を見てペット保険を解約した直後に足を骨折し高額な医療費を払うことになってしまった、というエピソードが描かれていて、読んでいるだけで冷や汗が出てきてしまいそうだった。
体力もお金も、自分が想定している以上の準備をしておかなくてはいけないようだ。
以前知人に言われた「ペットを飼う大変さ」の中には体力とお金のことについてもあるが、それ以上に大変なのはペットを最期まで見届ける責任感を持つことではないだろうか。
普段読んでいる、ペットを題材にしたコミックエッセイでは、ペットの可愛いエピソードや面白いエピソードに注視したものが多かった。そのため、本作で下半身に障害を持つコテツの世話と逝去後の葬儀、歳を取り思うような動きができなくなってきているシル、大吉、ウララたちの高齢化に対応する環境づくりについても具体的に描かれているのが印象に残った。
SNSで見せてくれる楽しそうな日常の裏で様々な経験をされていることを知り、ハマジ先生をはじめ、ペットを飼っている方々への尊敬の念が芽生えてくる。
ペットを飼うことに憧れを持っている人はたくさんいるだろう。そんな皆さんに伝えたいのは、安易に飼い始めずに、『猫とハスキーとハマジ』を読んでよく考えてから飼育を検討しましょう! ということ。ドタバタコメディかつ楽しい表現で「生き物を飼うって楽じゃないぞ!」と明るく教えてくれる作品だ。