萩原利久が選んだ1冊は?「プレーも生き方も、すべてが憧れ。この本で初めて知った事実もありました」

あの人と本の話 and more

公開日:2024/6/14

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2024年7月号からの転載です。

萩原利久さん

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、萩原利久さん。

(取材・文=野本由起 写真=TOWA)

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 NBAで活躍するステフィン・カリー選手を尊敬し、「カリーのような俳優になりたい」と語る萩原さん。そこまで惹かれる理由とは?

「最初はやっぱりプレーでした。カリーは、そこまで恵まれた体格ではないのに、努力と技術だけで上り詰めていくんです。僕も中学でバスケを始めたので、そのプロセスに感化され、自分も練習を積めばこうなれるかもしれないと希望を見出しました。そこから彼の生き方にも共感するようになったんです。今では、彼のすべてが憧れ。この本では、幼少期からの生い立ちも語られ、初めて知った事実もたくさんありました」

 3月には、現地で試合を観戦。

「カリーの代名詞と言えばスリーポイントシュート。ボールを構えただけで、驚くほどの歓声が沸くんですね。『毎回このプレッシャーの中でゴールを決めてるんだ』と、あらためて尊敬しました。彼はどれだけシュートを外したとしても次の1本を打つ、折れないメンタルの持ち主。僕も撮影現場で『たとえ外しても、次の1回で決めればいい』と思うと、気持ちが楽になるんです」

 バスケに興味がない人にこそ、この本を読んでほしいと萩原さん。

「八村塁選手が活躍しているとはいえ、まだまだNBAは日本で浸透していません。ひとりでも多くの人にその魅力を知ってほしいので、この本を配ろうかな(笑)」

 そんな萩原さんがカリー並みの集中力で臨んだのが、映画『朽ちないサクラ』。県警広報職員・森口泉は、あるストーカー殺人事件を発端に、組織の闇に直面する。立場の違う人々が、互いの正義をぶつけ合う迫真のサスペンスが描かれる。

「物の見え方って無限にあるんだなと思いました。真相はひとつなのに、時と状況、立場によってこうも見え方が変わるのか、と。こうした感覚は、SNSが普及した情報社会では誰もが味わったことがあると思うんです。物事は多面的だし、ひとつかけ違えば白が黒に、黒が白になる。そこに面白さを感じました」

 萩原さん演じる磯川は、泉とともに独自に事件を調査する警察官。とはいえ、捜査を専門にするわけではなく生活安全課に属している。

「磯川は、根がまっすぐな人。色で言うなら白です。周りの色が濃ければ濃いほど、磯川の白さは際立ちます。知らず知らずのうちに巨大な渦に呑み込まれていく中で、いかに白くいられるか。その点を大事に演じたので、ぜひご覧ください」

ヘアメイク:Emiy (スリーゲート) スタイリング:Shinya Tokita

はぎわら・りく●1999年、埼玉県生まれ。主な出演作に、ドラマ『美しい彼』『月読くんの禁断お夜食』『真夏のシンデレラ』『たとえあなたを忘れても』『めぐる未来』、映画『おとななじみ』『キングダム 運命の炎』『ミステリと言う勿れ』などがある。

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映画『朽ちないサクラ』

映画『朽ちないサクラ』

原作:柚月裕子『朽ちないサクラ』(徳間文庫) 監督:原 廣利 脚本:我人祥太、山田能龍 出演:杉咲 花、萩原利久、豊原功補、安田 顕ほか 配給:カルチュア・パブリッシャーズ 6月21日(金)公開
●地元新聞の独占スクープにより、警察の不祥事が暴かれた。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が記事にしたのではと疑う。だが、千佳が変死したため、泉は同期の磯川とともに事件を調査し始める。
(c)2024 映画「朽ちないサクラ」製作委員会