全てが“中途半端”でも“最強”になれたのはなぜ?平凡アラサーが活躍する異世界冒険譚
PR 公開日:2024/6/7
“なろう系”と呼ばれるものをはじめ、マンガ・小説でもいまや1ジャンルとして確固たるポジションを獲得する、異世界系作品。
RPGゲームのような異世界をベースとして、様々なキャラの主人公やユニークな設定のストーリーが多種多様に展開されるこのジャンル。そんな中『器用貧乏おじさんの異世界再冒険』(西川秀明/白泉社)では、いろんなことが良くも悪くも“中途半端”に出来てしまう主人公、マルコ・ピエタラを中心としたラブコメ冒険譚が描かれている。
この世界で人間族として生きるマルコは、一見冴えない風貌のどこにでもいるアラサー男性。だが彼には、この世界に生きる他の存在と少し違う部分がいくつかあった。
まずひとつは彼が既婚者であるということ。結婚自体は珍しくない話だが、彼の妻である女性は鬼(オーガ)・ホビットのヲニ、450歳。歳の差や種族の壁こそあれど、二人の夫婦生活は概ね順風満帆だ。
そしてもうひとつは、マルコが持つ能力。
剣術や武術、魔力に理力。どのステータスでも、マルコには人より突出して秀でている部分はない。どの能力も、良くも悪くも“ほどほど”。出来る方でも出来ない方でもない、いわゆる器用貧乏なタイプである。
しかし彼の強みはそんな“ほどほど”の能力を「まじぇまじぇ」するスキル、「渦御工反応 マゼルナ・キケン」を使えることにあった。
状況に応じた能力の掛け算でその力を爆増させ、様々なオリジナルスキルを生み出すマルコ。その力で昔は戦闘の中に身を置き、「THE ULTIMATE JACK-OF-ALL-TRADES(究極の器用貧乏)」とも呼ばれていた──そんな過去を持つ男でもある。
今はすっかり平和な暮らしを望むマルコだが、過去に一体どのような経験を経てきたのか。そして彼はなぜマゼルナ・キケンを習得し、器用貧乏としての道を極めたのか。
彼にまつわる様々な謎や、この世界を脅かす闇獣の存在について。旅と共にその真相へと近づいていく、そんな物語となっている。
作品の魅力のひとつがマルコをはじめ、いろんな意味で個性の尖ったにぎやかなキャラクターたちだ。
この世界でも非常に珍しい種族である鬼(オーガ)・ホビットの伴侶、ヲニ。いかつい初対面の印象や立場とは反対に、本性は可憐な14歳の少女であるターヤ。そして異世界系作品では通常元気な少年少女の主人公も多い中、冴えないアラサー男性、言わば“おじさん”でもあるマルコもまた、器用貧乏という特徴も含めなかなか個性的な存在である。
たくさんのバラエティ豊かな登場人物たちとの出会いや別れ、そして再会。
アクの強い魅力を放つ彼ら彼女らと紡ぐ物語は、当然エネルギッシュでユニークなエピソードが満載。それを追うことで、気付けば作品の世界観にすっかり虜になった人も多いことだろう。
そしてもうひとつは、やはり主人公・マルコによる特殊スキル、マゼルナ・キケン!
私たちが思うファンタジー世界の能力に止まらない化学反応で、スキルが発動するたび何が起こるかわからない!? そんな先の読めないドキドキ感も、物語を追う中で楽しい要素のひとつとなる。
戦闘時はもちろんだが日頃の生活、特に料理を作る際も彼の特殊スキルは大いに役立つ。彼の作る美味しそうな料理に、作中のキャラクターたちのみならず、我々読者も思わずお腹が空いてしまう。そんな料理漫画的な側面も、この作品では楽しむことが出来るだろう。
特異なことだらけのファンタジーな世界。しかしだからこそ、変わった奇天烈なこの世界で、“普通”であることもまた大きな魅力で個性のひとつ。
平々凡々、何事も“ほどほど”でしかない。そんな彼はこの世界の中で、本来一体どのような存在なのか? その秘密もぜひ、ストーリーと共に追いかけてほしい。