「私が負けた!?」モテ無双してきた“あざと女子”が出会ったのは、自分より上手なあざとい女で…

マンガ

PR 公開日:2024/6/15

あざとかわいいワタシが優勝"
あざとかわいいワタシが優勝』(網戸スズ/DPNブックス)

 メイクやファッションは全力で男性ウケを意識し、自分の魅せ方を熟知しているあざと女子。同性には嫌われがちだが、男性にちやほやされるためにストイックに努力する姿を見ると、いっそ清々しさを感じることもあるだろう。

あざとかわいいワタシが優勝』(網戸スズ/DPNブックス)は、そんな自分のかわいさを自覚しているあざと女子が主人公の物語だ。周りの人を貶めるのではなく、あくまで自分の持つ「かわいさ」を武器に立ち回るので、ストレスなく楽しめる。

advertisement

本作品を試し読み

 主人公「松嶋琴音(まつしまことね)」は、社会人になって2年目の23歳。「私はかわいい」というモノローグから物語がはじまるほど、その整った見た目を武器にして生きてきた。「自分=かわいい」はテストに出るくらい常識的なことだと思っているような人間なのだ。

あざとかわいいワタシが優勝

 新卒で入社したIT企業で広報部に異動した琴音は、そこでも自分の外見とあざとさを武器に、男性からちやほやされようと立ち回る。琴音いわく、男の人は「ちょっと抜けてて」「気遣いができて」「かわいい子」が好きだという。女性からすればあからさまな媚の売り方に嫌悪感があるかもしれないが、分かりやすいかわいさの方が男性は好感を覚えるのかもしれない。

 しかし、琴音がこれまで通りにあざとく振る舞っても、男性からのちやほやを独り占めできなかった。その中心にいたのは、「ちょっと抜けてて」「気遣いができて」「かわいい子」である琴音の教育係「佐原なず奈(さはらなずな)」だったのだ。

あざとかわいいワタシが優勝

あざとかわいいワタシが優勝

あざとかわいいワタシが優勝

 本作の面白いところは、なず奈がただの天然ではなく、琴音を上回る「あざと女子」であることである。そう、この作品は「あざと女子vs.あざと女子」の仁義なき戦いなのだ。琴音となず奈はバチバチのライバルとして認識し合い、相手の言動を観察し、その上を行く「あざとさ」で男性からの関心を惹きつけようとする。

 23歳という若さと素直さが強みの琴音に対し、32歳だからこその経験と知識、より深い気配りが武器のなず奈。琴音はこれまで天敵がいなかったからこそ、モテ無双できていた。しかし、格上の相手には全く敵わず、すべての言動がなず奈を引き立てるための当て馬になってしまっていた。琴音への見事な切り返しとさりげない気配りは、もはやコミュニケーションの勉強になるほどだ。

あざとかわいいワタシが優勝

 これまでのモテ無双ができないことに焦った琴音は、「自分の肌の若さ」という武器でなず奈に真っ向勝負を仕掛ける。そんな攻撃を「ニキビ治してから出直しなさい」とかわす姿は、思わず憧れてしまうほど堂々としているのだ。だが、余裕そうに見えるなず奈にとって、若くて真っ直ぐなあざとさを持つ琴音は決して侮れない存在で――。

あざとかわいいワタシが優勝

 熾烈なふたりの戦いは、本社に異動してきた独身男性「清水将貴(しみずまさき)」の登場によってさらに過熱しはじめる。「横浜支社成績トップの容姿端麗な有望株」と評価されるハイスペックな清水。琴音となず奈は清水にターゲットを定め、その心をオトすためにあざといテクニックを次々と繰り出していく。

 あざと女子vs.あざと女子の仁義なき戦いは、どちらに軍配が上がるのか。かわいさの下に隠された苛烈な争いの行方から、今後も目が離せない。

文=ネゴト/ 押入れの人

あわせて読みたい