人に親切にすると? 誤った意味で使われがちな「情けは人のためならず」/ことわざびっくり事典④
公開日:2024/6/16
「心頭」とは、心の中のことだ。そこで発した怒りの気持ちがわき上がっていることを表す。
つまり、めちゃめちゃ怒っているって意味のことわざだ。
これ、「怒り心頭に達する」とまちがえがち。
「心頭」を、頭の上を表す語だと思っちゃったのかも? それなら、わき上がった怒りが、頭のてっぺんに〝達した〟って気がしちゃうもんね。
ほかにも、怒りが心や頭のすみずみまでしみこんでいくようなイメージから、「怒り浸透」と字をまちがえちゃうことも。
「どんな人でも、身なりを整えればそれなりに立派に見える」という意味のことわざ。
じゃあ、「どんな人」ってどんな人かといえば、それは「馬子」。昔、馬に荷物や人を乗せて運ぶ仕事をしていた人のこと。身分が低かったので、服は粗末なものを着ていた。
そんな人でも、羽織はかまを着れば、見栄えよくなるという意味で、このことばが生まれたんだよ。
なお、「馬子」とまちがえやすいのが「孫」。祖父母は孫がどんな服を着ていてもかわいくてたまらないだろうから、こんな意味のことばにはならないんじゃないかな。
「郷」とは、土地のこと。「郷に入っては郷に従え」は「くらしや習慣、しきたりは、その土地ごとにちがうから、そこのやり方にしたがおう」って意味のことわざだ。
そんな意味を知れば、「郷」に「行く」でなくて「入る」とわかるよね。
また、このことばの「郷」は土地という意味以外にも、「学校」とか「部活」「会社」なんて、いろんな集団にも当てはめて使われるよ。
つまり、知らない土地、知らない集まりなどに新たに入ることになったら、これまでのルールをやり通すのではなく、そこのルールにしたがうのがいいよってことだ。
<第5回に続く>