「鼻を開く」ってどういうこと? ガンの治療、聞きなれない言葉に不安と恐怖【作者インタビュー】
公開日:2024/7/22
夫と2人の子どもと、幸せに暮らしていた主婦のやよいかめさん(@yayoi_kame)。鼻詰まり症状がなかなか治らず、病院へ行くと鼻腔(びくう)ガンだと判明した――。
突然ガン患者となり、治療を経てガンサバイバーとなったやよいかめさんが、闘病生活や家族との触れ合いを丁寧に、そしてときにはコミカルに描いた漫画『鼻腔ガンになった話』は、SNS上で大きな反響を呼んだ。そのリメイク版を、やよいかめさんのインタビューとともに紹介。第7話では、放射線と抗ガン剤による治療が始まる。
※本作で紹介している症状は、個人の体験談です。すべての人に当てはまるものではありません。症状に悩んでいる場合は医師・看護師等の専門家に相談してください。また、センシティブな内容を含むため閲覧にはご注意ください。
さまざまなプロが力を尽くしてくれたガン治療
――「鼻を開く」と聞いたときはどう感じましたか。
しっかりと切除するには、自分の希望うんぬんの問題ではないのだと思いました。先生からは「ガンをしっかり取って寛解させ、再び健康な生活に戻す!」という信念がビシバシと伝わってきました。同時に「既婚の40代だったら、ガンを治すためにちっちゃい鼻の傷くらい残ってもいいでしょう」という本音も、先生からはチラ見えしました。その考えも理解できますが、できるだけ傷が残ってほしくないという“乙女心”もわかっていただきたいと思いました。女性は死ぬまで乙女ですから(笑)
――親族に医療従事者がいることは、とても心強かったのでは?
夫の親類縁者には医療関係の仕事についている人が多く、お義父さんは特に心配して毎回のように付き添ってくれました。これから受ける治療の内容や、その治療が一般的なのか、最先端なのかなどを説明してくれて、本当に心強かったです。お義父さんも義理のお兄さん、お姉さんも、お仕事の関係を駆使して情報を集めてくださり、今でも拝みたいレベルで感謝しています。
――放射線治療に痛みはありましたか。
放射線治療では、照射中は特に痛みはありませんでした。ただ、回を重ねるごとに体のだるさや口腔内の渇きを感じるようになりました。放射線治療を受ける前に、放射線科の先生から脱毛、食欲不振、下痢などの副作用があると聞いていましたが、私の場合はそこまで大きな副作用は出ませんでしたね。
――作中では歯科を受診されていましたね。
鼻の腫瘍なので、耳鼻科のお世話になるのかと思っていたら、治療を終えるまでに放射線科、歯科、脳神経外科、麻酔科のそれぞれの先生に診察を受けました。おそらくほかにも、病理医や放射線技師、薬剤師などいろんなプロフェッショナルの方々が、患者からは見えないところで頑張ってくれていたのだと思います。診察を受けた先生方からは、いろんな方面からガンの話を聞くことができてよかったです。
――最後には大事なお金にまつわる話も出てきました。
高額療養費制度は「治療が長くかかる可能性がありそうなので、申請を1年でしといたほうがいいですよ」と医療事務員の方に教えていただきました。お金のことに関してはわからないことが多いので、わからないことは医療事務員や、自分が入っている保険の担当の方に聞いていました。また、保険会社に提出する書類は、退院後の通院にかかったお金など、書けるところはできるだけしっかりと書きました。書ききれずに「用紙をもう1枚送ってください!」とお願いしたことも。手間はかかりますが、せっかく入った保険なので、できる限り利用し尽くそうと思いました。
次回は、入院中のやよいかめさんのもとへ家族がお見舞いにやってくる。家族や周囲に支えられながら、ポジティブさを失わず闘病生活を乗り切っていく様子を描いたやよいかめさんの作品。2人に1人がガンになるといわれる今、その実体験は多くの人の参考になるに違いない。本作をまとめた書籍も発売中なので、気になる人はチェックしてみよう。
■やよいかめ
ホームページ:https://www.yayoikame.com
Instagram:@yayoi_kame