丸める必要がなく手が汚れない「鳥つくね」!? 井上咲楽が考案したレシピは遊び心満載だけどじんわり染み入る美味しさだった
PR 公開日:2024/6/21
身近にいる料理嫌いな人を見ていると、料理に対して「こうしなければ」「ちゃんと作らなければ」と義務感を背負っているように思う。でも本当は、料理ほど自由で楽しい、しかも人が生きている限りずっと役立つ趣味はなかなかないのではないか。『井上咲楽のおまもりごはん』(井上咲楽/主婦の友社) は、改めてそんなことを考えさせてくれる、無理しないけど工夫で溢れた料理が多数紹介されているレシピ本。
本書を手掛けているのは、バラエティやドラマなどで大活躍している人気急上昇中のタレント・井上咲楽さん。ロケや収録で日々忙しい彼女は、実は大の料理好きらしい。しかし以前から好きだったわけではないという。4人姉妹の長女として炊事係を担当していた井上さん。一生懸命作っても、妹たちに一気に食べられてしまう虚しさを感じて面倒だと思うことも多かったのだとか。
そんな井上さんが料理好きになったきっかけは、上京する際に母親から分けてもらったぬか床。まったく同じぬか床だったはずが、育てていくうちに全然違う味になっていることに気づき、発酵食品に興味を持ったという。そこから、発酵食品を使った料理を研究、開発するようになったのだそう。
本書は、レシピの提案はもちろん、調理や盛り付けまですべて井上さん本人が手掛けたもの。地方ロケでお世話になった農家さんに教わった「なすぼけ」や、井上さんの地元である栃木県益子町で馴染みの「ビルマ汁」をはじめ、井上さんが普段から食べているレシピが40品以上登場する。筆者も気になったので、実際に作ってみた。
卵焼き器で一気に作る「ましかく塩つくね」
まずは「ましかく塩つくね」。ポリ袋に鶏ひき肉、ねぎのみじん切り、生姜のすりおろし、片栗粉、塩麹を入れてよく揉み、こめ油を塗ったフライパンに広げ入れてこんがり焼いていく。両面焼いて火が通ったら、あとは切り分ければ完成だ。
口に入れると生姜とねぎの香味がふわっと香り、食欲を刺激する。塩麹を使っているためか、角がなく優しい味わいなのにしっかりとしたうまみを感じる。じわっと体に染みわたるようなクセになる味わいだ。卵焼き器を使うことで、丸めなくても均等な塩つくねを量産できるのも嬉しいポイント。
クセのあるチーズでコクをプラス「ゴルゴン肉じゃが」
続いて、ゴルゴンゾーラを加えて作る「ゴルゴン肉じゃが」。鍋に米油を熱し、乱切りにした人参、くし形に切った玉ねぎ、大きめの一口大に切ったじゃがいも、豚こまぎれ肉を炒める。肉の色が変わったらだし汁を入れてひと煮立ちさせ、ゴルゴンゾーラ、醤油、塩麹を加えて落とし蓋をし、野菜が柔らかくなるまで煮込めば完成。
作る前は、肉じゃがにクセの強いゴルゴンゾーラ!? しかもみりんや砂糖はなし!? と若干の不安もあった。しかし実際に食べてみると、クセと塩気の強いゴルゴンゾーラだからこそのまとまりある味わいとコク、シチューのようなじんわり染み入る優しさが共存している絶品肉じゃがに仕上がって驚いた。ゴルゴンゾーラにこんな使い方があったのか! 塩麹は、先に豚こまぎれ肉に揉みこんでおくのもアリかもしれない。
作ったどちらの料理も、発酵食品をうまく活用することで味に深みが生まれていると感じた。普段使いのおかずも、ちょっとした工夫を潜ませることで味も雰囲気もガラッと変わる。この遊び心や挑戦こそ料理の醍醐味!と、読んでいて嬉しくなった。本書には、まだまだ気になるレシピが多数掲載されている。おかずがマンネリ化している、手軽にもうひとひねりしたい、という人は、本書で食卓に新しい風を吹かせてみては?
文=月乃雫