理科は「暗記」ではなく「体感」して学ぶ!中学受験の入試問題つきで、子どもの“理系脳”を鍛えられるレシピ本
PR 公開日:2024/6/26
小学生の息子の勉強を見るときに「理科は暗記科目だし、教えなくていいかな…」と考えていましたが、『キッチンで頭がよくなる! 理系脳が育つレシピ』(中村陽子:著・文、辻義夫:監修/飛鳥新社)を読むと、「理科こそ思考力」「キッチンは最高の理科実験教室」と書かれていて驚きました。こちらのレシピ本、理科が苦手だったり、自由研究のネタを探している小学生、または中学受験を控える小学生や、理科好きの中学生が楽しみながら学べる一冊だとか。
私自身は理科が苦手で、子どもに教えられる自信はまったくないのですが、調理を絡めれば教えられることがあるかも…と思い、息子の理系脳を活性化させるべく、親子で挑戦してみました。
「あわもこムース」の材料は実験道具のよう!?
「お菓子作りで実験するよ」と息子を誘い出してつくったのは、ぶどうジュースのシュワシュワがおいしそうな「あわもこムース」。「色」のふしぎについて学べるレシピです。材料には、重曹、クエン酸など、掃除アイテムとしてもなじみのあるものも並んでいます(料理に使う重曹とクエン酸は、食用ですが)。
小学生の息子はスケールに興味しんしん
クッキングスケールや計量スプーンなどの道具をそろえていかにも実験らしくしてみると、理科好きでなくてもワクワク。材料を計るところからお願いすると、息子はスケールの上に材料ではなく自分の手を乗せて「手の重さを計る」という謎の行動に…。いつもならせかすところですが、本には「ふだんの生活のなかでどれだけさまざまな現象に関心をむけ、『体感』しているか」が理系脳を鍛えると書かれていたので、ここは温かい目で見守ります。
ぶどうジュースの色がどんどん変化する?
用意された4種類の粉、そして、ぶどうジュース。これらを書かれた通りに混ぜていくと、どんどん色が変わり、最終的にフワフワの泡になるそう 。まずは、粉糖と重曹を入れたボウルに、ぶどうジュースを加えます。
ぶどうジュース+重曹=青色
さっきは紫色だったぶどうジュースが、ぐるぐる混ぜていくと青色に変化。息子は「毒みたいな色。おいしくなさそう。これ飲んだら病気になっちゃうよ?」とのこと。う~ん、たしかに青は食べ物ではなかなか見ない色。食欲減退の色ともいわれています。息子は本能的に食べてはいけない危険な色!と思ったのかも。色が与える効果について考えてもおもしろそう!
ぶどうジュースのむらさき色は「アントシアニン」という色素によるもので、中性ではむらさき色ですが、アルカリ性が強くなるほど青、緑、黄色と色を変えていくのだそうです。つまり、重曹は弱いアルカリ性ということがわかりました!
ぶどうジュース+クエン酸=ピンク
次に「クエン酸」を加えると、今度はピンク色に! アントシアニンは酸性のものを加えるとピンク色になることから、クエン酸は「酸性」であることがわかりました。「クエン酸の“酸”と酸性の“酸”は同じだね」と息子。ふむふむ、自分なりに学習している様子。
「ピンクの泡が出てきた。熱そう!」となぜか叫んでいた息子は、おそらく溶岩のことを思い浮かべたのでしょう。「クエン酸を入れたら、 “ピンク”の溶岩になる。つまりアントシアニンがピンク色に変化する」というこの時の光景をしっかり頭に焼き付けてくれたなら、しめたもの。これこそが「日常で体感できる理科」であるはず。
クエン酸と重曹が結びつくと…どうなる?
クエン酸を入れた後に間髪入れずに「乾燥卵白」を加えると、むくむくと泡立ってふわふわのムース状に! 泡の正体は、クエン酸と重曹が結びつくことによって発生した二酸化炭素だそう。親子ともに「わー! どんどんふくらむ!」と思わず声を上げて、くぎづけになりました!
出来上がった「あわもこムース」に、「おいしそう、食べたい!」と飛びついた息子は、「アルカリ性・酸性で色が変わる」「クエン酸は思っていたよりすっぱい!」など、今回のレシピの中でさまざまな発見をしたようでした。
カテゴリー別に理科のふしぎを体感
本書には他にも「温度」「色」「濃度・密度」「酵素」「空気」のカテゴリー別に、さまざまなレシピが載っています。今回は「色」の実験をしましたが、次に試したいと思っているのが「温度」のふしぎを学べる「逆さ卵と半熟卵」です。
「逆さ卵」とは、いわゆる温泉卵のこと。うちでも半熟卵はよく作るものの、温泉卵を作ってみたことはありません。卵の白身と黄身の固まる温度の違いを利用して作ると読んで、大人の私も「ふむふむ」。日常のなかにも理科の種がたくさん隠れていることに、改めて気づかされました。
実際に出題された入試問題にチャレンジ
各レシピの最後では、実際に中学受験で出題された入試問題にチャレンジできます。教科書で勉強するだけでは理解するのが難しいことを、調理から試食までを体験しながら学べるとは、感動です。
わが子の「理系脳」を日常のなかで鍛える
本の著者は、お子さんの中学受験に伴走して、身近な現象への興味関心を持って探求する姿勢が重要だと気づいたという、料理家の中村陽子さん。そして監修は、理科を楽しく学べる指導で“ワクワク系中学受験”と評され、受験生から絶大な支持を得ている辻義夫先生。試験問題でつまずきやすいポイントもていねいにレクチャーしてくれます。
驚いたり、新たな疑問を持ったりと、さまざまな発見があったレシピ。調理という日常的な体験を通してわが子の「理系脳」を鍛えることができるなんて…。子どもは楽しんでくれるし、親としても理科という教科への期待がグンと高まりました。
調理・文=吉田あき