祖父母から教わった、みんなを幸せにする方法ーーSNS総フォロワー数400万人超!「森ケの日常」パパの初著書『僕の自慢のヤバい家族』出版記念インタビュー
公開日:2024/6/26
ティーンからその親世代まで、幅広い年齢層に圧倒的人気を誇る、自称‟非常識ファミリーYouTuber“「森ケの日常」。楽しく自由な家族のありのままが伝わってくる動画を見て、「どうしてこんなにも家族仲がいいのだろう」と感じたことはありませんか?
本稿は、『僕の自慢のヤバい家族 子育ての常識を捨てたらみんなの笑顔が増えました』(森三久/KADOKAWA)の出版記念インタビューとして、「森ケの日常」のパパ・森三久さんに、森ケの根幹にある「相手を知る、思いやる」という考え方を伺いました。
――初著書の発売、おめでとうございます。今の心境や、周囲の反響はいかがですか。
森三久さん(以降、森):ありがとうございます。無事発売されてホッとしています。
本も売れているみたいで、自分の言葉で書いてよかったです。
――出版を記念した初のオフ会を東京、名古屋、大阪で開催されたとのこと。ファンの皆様も楽しまれたと思いますが、特に記憶に残っていることがあれば教えてください。
森:ファンの方と実際に会うのは今回が初めてでした。正直、こんな非常識YouTuberを好きな方はどんな人たちなんだろうと思っていたのですが、本当にいい方ばかりで。森ケに会って泣いて喜んでくれる方も、北海道や石垣島から握手するためだけに会いに来てくれていた方もいてびっくりしたし、嬉しかったです。
――本書は森さんが自筆でご執筆されたそうですが、普段のお仕事や家族時間との両立など、大変なことも多かったのではないですか?
森:多かったですけど、忙しくさせてもらえる状況が幸せなので、大変ではなくてありがたいと思っています。でもやはりバランスは大切ですよね。本にも書きましたが、僕は仕事のために仕事をしているわけでも、お金のために仕事をしているわけでもなく、家族を守るため、森ケのために仕事をしています。
忙しい状況はありがたいのですが、約2年間、仕事をしてYouTubeも更新する生活をしていたら、家族の時間がどんどんなくなっていきました。
娘を有名にするため、家族の思い出を残すためにYouTubeを始めたはずなのに、このままではいけないと思い、2024年6月14日の動画で、YouTubeを一旦休止させてもらうことをみんなに報告しました。
体勢を整えて、家族で話し合って、また更新できたらなと思っています。
――そんな書籍にて、森さんの家族観は、おじいさま、おばあさまからもたくさんの影響を受けてこられたことを知りました。中でも「与えられるより与える人になってほしい」「自分より弱いやつらへの優しさや思いやりを持ってほしい」という考えが印象的でした。このように考えるきっかけとなったエピソードがあれば教えていただきたいです。
森:分かりました。昔話をしますね。
あれは……僕が中学生だった頃の8月の夏休み、とても蒸し暑い日でした。
僕は、目つきの悪い、ものすごい天然パーマなのに頑なに「くせ毛」と言い張る、デジタルの体重計に乗るとやや肥満にカテゴライズされる友達と自転車に乗って、あてもなくフラフラしていました。炎天下で自転車に乗っているので、髪の毛は熱を持ち、腕は汗でテカテカに光っています。ノドがカラカラに渇いていましたが、お金がなかったのでジュースも買えませんでした。
近くの公園に行くと、「自称くせ毛」の小学校時代の友達が公園の近くをたまたま歩いていました。僕はその友達とは中学校から同じだったので顔は見たことがありましたが、ちゃんと話をしたことはありませんでした。
その友達は双子なのかと思うほど「自称くせ毛」と顔がそっくりです。目つきが悪く天然パーマでやや肥満でした。
「自称くせ毛」がその友達に言いました。
「暑すぎて死にそうだから、久しぶりにお前の家行こうぜ」
彼の家は公園から徒歩30秒のところにありました。彼はめちゃくちゃ嫌そうでしたが、不良っぽかった「自称くせ毛」と少し上下関係があったのか、僕たちを家の中に入れてくれました。
夏休みなので家には誰もいません。入った瞬間、世界が変わります。クーラーが効いていて、新鮮な空気を吸ったように生き返りました。
そして「自称くせ毛」が友達に言いました。
「なんか飲むものない? 死にそう」
今思うとかなり図々しいですが、僕たちは本当に喉が渇いていたので、なんでもいいから飲ませてほしかったんです。
しかし友達は「何もない」と言いながら自分だけバヤリースを飲んでいます。
「なんでもいいからちょうだい」と食い下がる「自称くせ毛」に「何もない、無理」の一点張りの友達。「水道水でもいいからお願い」と言っても、「ない、無理」と突き返します。
それを聞いた僕は「帰ろう」と言い、すぐに友達の家を出ました。水道水すらもらえませんでした。
――それは苦い思い出ですね。書籍には「じいちゃんは、友達や仕事のお客さんを家に呼んで、家の食べ物や酒を全部なくなるくらい振る舞う」と書かれてました。
森:僕の家は貧乏でしたが、僕の友達やお客さんが来たら全力でもてなす家でした。じいちゃんは人になんでもあげたりご飯をふるまったりするのが好きな人で、お客さんが来るとばあちゃんがいろんな料理を作ってどんどん出していきました。僕の友達が来たら「ほらこれも食べ、あれも食べ」と料理を作って出してくれました。
――おじいさま、おばあさまはどのような思いでおもてなしをされていたのでしょうか。
森:ある日僕はばあちゃんに聞きました。
「ばあちゃん、いつもそんなにご飯作って片付けして大変じゃないん?」
ばあちゃんは「そりゃあ大変。でも料理を出して美味しく食べてくれた時のみんなの顔が嬉しいし、まず友達にしてあげたらお前が喜ぶ。だからしたい」と言っていました。
――先ほどの友達とのお話は、おふたりにもされましたか?
森:はい。その日、家に帰って、ばあちゃんにバヤリースを一人で飲む友達の話をしました。
するとばあちゃんは「自分が食べたり飲んだりする喜びよりも、人にあげてその人が喜んでくれる喜びの方が何倍も大きいことを知らんのやわ」と言いました。
続けて「人がしんどい時、苦しい時にしてくれた恩ほど嬉しいものはない。誰かが困っていて、自分がその時できるなら、できる限りしてあげなさい」と教えてくれました。
すると横で聞いていたじいちゃんが言います。
「盗んできたスイカを一人で食うても美味しくない。みんなでワイワイしながら、美味しいなって言いながら食うスイカは、そのスイカが甘くなくても、自分の分が減ってもうまい」。
じいちゃんは小学生の頃、戦時中で食べるものがなくて、スイカを盗みに行っては家族やじいちゃんの子分に食べさせていたそうです。
盗みは悪いことですが、僕にとっては自分の大切な考え方の一つになりました。
されるよりする人。喜ぶより喜ばせる人。与えられるより与える人。痛みを分かってもらうより、分かる人。そんな人の方が幸せだということを、じいちゃん、ばあちゃんに教えてもらいました。
アクションを起こすとリアクションが返ってきて、そのリアクションによって、嬉しくなってアクションをまた起こそうと思える。どんどん幸せになるサイクルが生まれます。
僕は思いました。アクションを起こす人は幸せを作れるんだ。与えられる人は誰かのアクションを待ってないと幸せは来ないけど、与える人は自分で喜びや幸せを作れるんだ。だから与える人の方が幸せなんだと。
――奥様のお母様も、森さんにお弁当を作られるなど献身的な方ですよね。
森:たまたまですが、ママもママの家族も同じ考えの人たちでした。そんなふうに利他的な行動をしていると子どもたちは見てくれていて、娘はお金があっても自分のものを買うよりもばあちゃんに買ってあげたり、いつも暴走してる長男も、弟たちを笑わせたり、喜ばせたり、お菓子を分けてあげたりしています。
しつけ、礼儀に関してできていないこともありますが、困ってる人や弱い人を想って喜ばせる行為に滲む人を思う気持ちは伝わってるんじゃないかなと思っています。
――貴重なお話をありがとうございました。最後に読者の方へメッセージをお願いします。
森:僕みたいなやつが皆さんに偉そうに何か伝えられることはありません。この本は、僕の家族がやっていることを紹介して、その中で気持ちが楽になったり、使える考え方を見つけてもらえたりしたらいいなと思って書きました。
僕たち自身も悩んで考えてを繰り返していて、家族としては途中です。でも、僕は家族のことを本気で考えて本気で思っている自信だけはあります。よければ『僕の自慢のヤバい家族』を最後までお楽しみください。
取材・文=伊藤
【著者プロフィール】
森三久
YouTubeチャンネル「森ケの日常」のパパ。趣味は家族。
YouTube:@-gaglifefamily-1010