盟友・三浦建太郎氏の遺伝子が宿る森恒二の新作『D.ダイバー』コミックス最新2巻発売

マンガ

公開日:2024/6/28

D.ダイバー
D.ダイバー』2巻(森恒二/白泉社)

『ホーリーランド』や『創世のタイガ』などを代表作に持つ漫画家・森恒二が手掛ける新たなダークヒーロー叙事詩『D.ダイバー』。同作のコミックス最新2巻が、2024年6月28日(金)に発売される。“夢の中”で繰り広げられる悪との戦いは、どのような展開を迎えるのだろうか……。

『D.ダイバー』は、2023年5月より『ヤングアニマル』で連載中の作品。人の夢に干渉する力に目覚めた主人公・カグラが犯罪者と相対し、孤独なダークヒーローとして悪を成敗する様子が描かれていく。

 カグラが力を自覚し始めたのは、普通の大学生として過ごしていたある日のこと。毎夜見るリアルな夢に戸惑っていたカグラは、ゼミの実習で取り上げられた事件の傍聴に訪れ、その夜に夢の中で被告人の男を目撃する。

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 男は合いカギを使って女性の家に押し入り、性的な暴行の上殺害した容疑に問われていたが、裁判では無罪を主張。しかし夢で被告人が犯行に及ぶ様子を目撃し、加えて身勝手な心の声がこだまする。そしてカグラは「夢だから」と、怒りの衝動に任せて物理的な制裁を加えていく。

 そうした夢を連続して見ていたある日、突如として被告人が罪を認めて全面自供したことを知らされたカグラ。そして再び傍聴に訪れると、そこには憔悴しきった男の姿があって――。

 カグラは夢の中で犯人と相対するが、そこで受けたダメージは現実とリンクする模様。殴れば拳が痛み、ケガをしたらキズが残った状態で目覚めることになる。それでもカグラは“心の炎”に導かれるまま悪と戦い、何度も懲らしめることで自供へと導く。しかし夢の中とはいえ、暴力による制裁が許されることなのか思い悩むカグラ。悪を悪で制するのは罪なのか、『D.ダイバー』で斬新な設定で数々のヒット作を生み出してきた森らしいテーマが垣間見える作品となっている。

 そんな同作のコミックス最新2巻は、とある殺人事件を中心に描かれていく。被告人の女性は罪を認めているのだが、カグラは夢で真犯人の影を察知する。ところが今までとは違い実体がなく、苦戦を強いられることに。そこで“あるアイデア”を思いつき――。

 ちなみに森といえば、2021年に突如としてこの世を去った漫画家・三浦建太郎氏と高校時代からの盟友として知られる人物。お互いに漫画論をぶつけ合いながら意見交換することも多く、『D.ダイバー』のダークヒーローというテーマは三浦氏による助言が一役買っているのだそう。

 また昨年「ダ・ヴィンチWeb」に掲載されたインタビューで森は、「『D.ダイバー』は三浦と作った最後の漫画になると思うので、描いて、残さないと、って思ったんです」と強い意気込みを語っていた。盟友の遺伝子も宿る同作は、どんな“正義”を描いていくのか……。今後の展開も見逃せない。

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