子どもを本好きにする3つの柱とは!? 東大発1万人の子どもが読書にハマったメソッド
公開日:2024/7/8
「子どもに本を読んで欲しい」そう考えている大人は多い。
けれども、本を読むことがいかに素晴らしいかを大人たちは言葉にして子どもたちに伝えることができないでいる。そして子どもたちが実際に本を手に取って読書の素晴らしさを体験して欲しいと思っているが、どうすればよいのかわからず悩んでいる。
笹沼颯太『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、オンラインの習い事「ヨンデミー」の代表である著者による、子どもたちが読書にハマる「ヨンデミー」のメソッドを紹介する。
本書はまず読書の前に子どもたちを取り巻く環境を知ることから始まる。主体的に文字を追う読書と比べて、受動的でラクなYoutubeといった動画コンテンツを子どもたちは好んで楽しんでいる。現代は子どもが勝手に本を好きになる時代ではないのである。また、2022年に行われた内閣府の調査では、小学生のインターネットの利用時間は1日あたり平均213.7分で、2014年に行われた同調査の83.3分と比べて3倍近く伸びているという。
つまり、本より手軽に楽しめる存在が身近にあることで読書をしなくなるのは現代では自然な流れであり、だからこそ子どもが本の魅力に気づける環境づくり、楽しく読んで読書を習慣化できるようサポートする必要があるという。
読書によって身につく力
読書をすることで身につく力として、本書は「学びに向かう力」をあげる。なぜなら読むという行為はあらゆる学習において求められるものだからだ。また、読書によって「言葉を使いこなす力」を育むことで、語彙力が伸び、思考や表現の幅が広がる。そのほか、「EQ(心の知能指数)を高める力」、「人の考えを取り入れて自分を変える力」など、四つの「読書によって身につく力」を紹介する。なかでも文学作品をたくさん読んだ人は、人の感情を読み取る能力に長けているという心理学者の報告もあるとされ、文学作品はコミュニケーション能力の指針となるEQを高めるのに効果的だといわれている。
子どもが読書を好きなる読書教育
子どもが読書家になるにはどうしたらよいか。
それにはまず「ささる本選び」「ハマるきっかけづくり」「習慣化できる環境づくり」の「読書教育の3つの柱」があり、この3つの柱をコンプリートすれば誰でも読書家になれるという。
たとえば「ささる本選び」。「ささる本」がわかれば、子どもは自ら読書は楽しい、読書をしたいという気持ちになる。しかし大人が子どもに本をオススメしたところで見向きもされない。これは子どもにとって的確な本選びをする力がまだまだ備わっておらず、大人のオススメが通じてないということだ。子どもが夢中で読み始める「ささる本」の選び方として読書の「レベル」と「好み」から子どもにあった本を選ぶことが重要だ。「〇年生向け」といった本の表記を当てにせず、子どもの読む力に合わせて本を選ぶことが大切で、それには子どもの読む力を知ることから始まる。
本書ではそうした子どもの読む力を知る上で、読書の「難しさ」と「長さ」から判断しヨンデミー―レベルとして数値化。これによって子どもの読む力を把握したうえで、「難しさ」と「長さ」のバランスを考えて子どもが楽しく読める本を増やしていく。
「本」とひと口にいっても、絵本や、文学、ノンフィクションから教養、実用まで様々なジャンルやテーマが存在する。だからこそ読書の入口では迷う事が多い。しかし本書は子どもとっての「読書」を数値化、言語化することで、素晴らしい読書の世界の入口までの地図を描いている。
そして子どもが「読書を楽しい」と思える最後のひと押しは、我々大人たちが読書を楽しむ姿を子どもたちに見せることではないだろうかと、本書を読みながら強く思った。
文=すずきたけし