ユーチューバーの人生は幸せか? YouTubeで人生逆転したホームレス

文芸・カルチャー

公開日:2024/7/22

YouTuberになって人生逆転を果たしたホームレスをご存じですか?

ナム氏は20代後半の頃からギャンブルにはまり、日雇いの仕事をしながら全国のボートレースを追いかけていました。しかし、年齢を重ねると仕事もなくなり、気づけば横浜・関内の地下通路でホームレス生活を行うことに。

「一緒にYouTuberをやりませんか?」
いつも通り、地下通路で寝泊まりしていると、ある人からそう声をかけられました。「ヒマだから」とYouTubeを始めると、瞬く間に登録者が伸びていきました。無一文の路上生活者だったのに、気づけば登録者40万人のYouTuberへ。それはまさに地獄から天国へと舞い上がる出来事でした。

そんな天と地の両方の景色を見てきたナム氏がこれまでの人生を振り返りながら、ホームレス生活を通して得た人生哲学を紹介するエッセイ『ホームレスが大富豪になるまで。 YouTubeで人生大逆転!どん底から這い上がるには』をご紹介します。

※本記事は『ホームレスが大富豪になるまで。 YouTubeで人生大逆転!どん底から這い上がるには』(ナム/KADOKAWA)から一部抜粋・編集しました

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ホームレスが大富豪になるまで。 YouTubeで人生大逆転!どん底から這い上がるには
『ホームレスが大富豪になるまで。 YouTubeで人生大逆転!どん底から這い上がるには』(ナム/KADOKAWA)

ユーチューバーになれば人生は幸せか

 ユーチューバーになって生活はラクになった。

 アパートに移り住んだら、そこは楽園。天井と壁があって、風呂とトイレがあって、自分だけの快適な居住空間で寝られる。毎日適当な時間に起きて、簡単な食事をつくって、好きなことをやりながら時間を過ごせる。週1回くらい撮影をしてお金をもらえる。

 しいて難点を挙げるなら、運動不足になったことかな。地下通路に住んでた頃は散歩が日課で、毎日めちゃくちゃ歩いてたから。今、それがなくなっちゃったから、この前、万歩計を買ったんだよ。ウォーキング始めようと思って。

 いずれにせよ、地下通路を脱した今、確かに生活はラクになった。

 でも、「幸せか?」って言われたら、正直よくわからない。

 世の中、結婚している人がみんな幸せなわけじゃない。会社のエラい人だって、お金持ちの人だって、不幸な人はいる。

「幸せ」って何なんだろう。

 人によって違うよね。キレイごとじゃなくて、ホントにそう思うんだよ。

 客観的に見たら、ホームレスからユーチューバーになった今の生活は幸せだし、人はこうやって幸せになっていくんだろうなっていう感覚はある。

 でも一方で、俺は常に、地平線みたいな真っすぐな線の上に立っている気分でいる。ユーチューバーとして成功することが天国への階段を上っているのか、地獄への階段を下っているのか、それは未だにわからない。

 幸せって誰かと比べるものじゃないし、結局死ぬときにしかわからないんじゃない? 俺の人生、幸せだったなぁって。

 唯一「幸せ」を実感するのは、視聴者からのコメントを見たとき。

「元気もらってます」とか「子どもと楽しく観てます」とかそういうコメントを読むと、胸が熱くなる。このときだけは、ユーチューバーになってよかったと心から思える。

 ここまで読んでくれた人ならわかると思うけど、俺って、誰かの人生に深く関わったことがないでしょ。俺の人生の主役は常に俺。それは今も変わらないけど、俺の言葉で勇気づけられたって言ってくれる人がいたり、動画を通じて再就職できたホームレスがいたりして、少なからず、誰かの人生の役に立てたなって感じる瞬間ができた。

 思い起こせば、誰かに感謝なんてされたことない人生だったからさ。他人と深く付き合ってこなかったから、誰かに必要とされるっていう経験もなかったわけ。

 だから俺にとって、自分の存在が誰かの救いになっていると思えたことが、ユーチューバーになったことの一番の価値かな。

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