BTS、Snow Man、NewJeansやNumber_iまで! K-POPからJ-POPのダンスの魅力をあらゆる角度から解説した1冊

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PR 公開日:2024/7/5

読むダンス
読むダンス』(ARATA/集英社新書)

 YouTubeやTikTokなどの台頭により、ダンス人口は飛躍的に増えたように思う。それに伴ってアーティストが踊るダンスもどんどんレベルアップした。今や国内外問わず、人気グループはみなハイレベルかつ感情表現も巧みなダンスで多くのファンを魅了している。そんな人気グループのダンスの魅力を、YouTube動画をベースに解説していく新しい一冊が『読むダンス』(ARATA/集英社新書)だ。

 著者であるARATA氏は自身もダンサー&ダンス講師であり、その経験を活かしてYouTubeチャンネル「ARATA DANCE SCHOOL」を運営。K-POP、J-POPを中心にグループやアーティストのダンスを解説している。

なぜBTS“Dynamite”を世界中の人が踊ったのか?

 366ページある本書の中で、全2章・160ページ近くを使って取り上げられているのがBTS。第1章の作品解説では、世界的大ヒット曲となった“Dynamite”やそれに続いた“Butter”など全11作品を紹介する。

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 ひとつの作品ごとにYouTubeのタイトル名、URL、二次元コードを紹介し、「〇秒」と場面を指定。そのシーンの魅力を専門的な視点とメンバーの細かい動きを拾うファン的視点、二軸で解説していくのが本書の大まかな流れだ。

 例えば“Dynamite”解説の際、ARATA氏が繰り返すのは「余白・ゆとり」という言葉。シンプルかつ繰り返される印象的な振り付けで多くの人の「踊ってみたい」という気持ちを刺激したことが、爆発的ヒットの理由であると分析した。さらにショーダンスの雰囲気が強いフォーメーションや、印象的な蹴りの振り部分はマイケル・ジャクソンのオマージュであることなど、細かい仕掛けにも着目。かと思えば「冒頭のググちゃんには絶大な信頼感がある」など各メンバーの魅力を知る人だからこそ気づくかわいい視点も。専門的知識だけではない緩急のある構成が、ダンスを知らない人から玄人まで、多くの人が本書を楽しめる理由だ。

 第2章では個々のダンスの魅力を解説。中でもARATA氏が大先生と呼ぶj-hopeさんについては7曲を例に挙げその魅力を力説するなど、こちらも濃い内容になっている。

Snow Manの魅力を語るキーワードは「テーマパーク」と「野球」!?

 ARATA氏はSnow Manについて、日本のアイドルダンスというものから方向をシフトして本格的なダンスに挑んでいるグループと絶賛。作品解説ではリーダー・岩本照さんが振り付けた“Crazy F-R-E-S-H Beat”をはじめ、“KISSIN’ MY LIPS”などを含む7作品を解説した。Snow Manはセクシーあり、コミカルありとグループとしての引き出しの多さでも知られるグループ。繊細でしなやかな『タペストリー』ではメンバーそれぞれの足元や腕の出し方など細かい部分に言及し、全員が細部まで一致した世界観を持っているからこそニュアンスまでもが統一されていると指摘。コミカルな振り付けも多い“ブラザービート”では、面白さとカッコよさがなぜ両立しているのかを、振り付けの作成背景や専門用語も交えながら解説。ただ難しいダンスを踊りこなすだけではない、個性も背景も違う彼らが9人揃っているからこそ生み出される、グループとしての魅力が強く伝わる内容となっている。

 各人解説では「高いダンススキルと明晰な頭脳を持つ二刀流(岩本照について)」「向井くんは『重心が後ろ』になるタイプだと思う」という的確な分析コメントもあれば、「『ラウールくん=芸術』と辞書に載せてほしい」「チーム想いのプリンス(目黒蓮について)」など、すべてのファンが首を縦に強く振りたくなる一言も。こちらも専門家的視点とSnow Manへの愛の両方が詰まった、すべてのファンの方に是非読んでほしい内容だ。

 他にもNiziU、NewJeans、XGらガールズグループの解説や、BE:FIRSTの各人解説、ARATA選「見るだけで元気が出るダンス」としてEXOの“Tempo”やTOMORROW X TOGETHERの“CROWN”、Number_i“GOAT”など10作品を紹介する章も。全72作品が取り上げられており、情報がみっちり詰まった一冊だ。

文=原智香

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