ゲームと動画ばかりの子ども、どうすればいい!? 親の不安をプロが解決! 子どもに伝わる声の掛け方とは?
公開日:2024/7/24
「うちの子、家にいるとゲームと動画ばっかり!」これは多くのママ友から聞く言葉。もちろん我が家も例外ではありません。学校から帰ってきたらまずテレビ。「テレビ観る前に宿題すれば?」「ゲームばかりしてないで、他の遊びしたら?」と言えばうるさそうな顔をするけど、これでもこっちは言いたいことの半分は我慢してるんですけど……!? 夏休みになったらこのイライラが爆発しそうで、すでに恐怖です。
そんなパパママに手を差し伸べてくれるのが『うちの子、ゲームして動画ばっかり見てますけど大丈夫ですか!? もしかしてデジタル依存!? と思ったら』(アベナオミ:著、森山沙耶:監修/KADOKAWA)。3兄弟を育てるイラストレーターのアベナオミさんが、自身の子育てで感じる悩みを臨床心理士の森山沙耶さんに相談。それをまとめたコミックエッセイです。森山さんは「MIRA-i」というゲーム・スマホなどの依存症の予防・回復を専門とした支援サービスを行う団体で活動する、この道のプロ。プロの具体的なアドバイスがぎっしり詰まった1冊なのです。
まず本書を読んで良かったのが、自分のイライラが漠然としたものだと気づいたこと。アベ家と同じく我が家もコロナ禍の一斉休校でゲーム・動画に頼る時間が増え、以降なんとなく「こんなに観ていたらよくないのでは」と思っていました。しかし森山さんは「やらないのが善、やるのが悪ではない」と冒頭できっぱり。
その上で「どうして動画・ゲームに熱中するのは良くないと思うのか?」と私たちに問いかけます。ゲーム・動画よりも外で遊んでほしい、本を読んでほしい……。そう思う理由はなぜなのか? そしてそのためにはどうすればいいのか? その答えは、例えば外で遊ぶ方が健康にいいと感じるなら外遊びに誘うなど、親が行動するべし。
確かに私、これまで自分がイラっとした時に口頭で注意するだけでした。そもそも親がイラっとした時=子どもがゲーム・動画に集中している時。そんな時に言われても子どもが言うことを聞くわけがないと反省しました。
もうひとつ漠然としていたと気づいたのが、「ずっとだらだら観ている気がする」と思ってはいても、実際どのくらいの時間をゲーム・動画に費やしているのか把握していなかったこと。本書ではゲーム・動画の時間を可視化することをすすめています。
まずは可視化し、そしてその後のルール作りは親子一緒に考えるのがオススメ。「ずっとやっていると思っていたけど、合計したらそれほどではなかった」「先に宿題をすれば長くゲームできる」など親子ともに気づくことがあるはずです。
さらに本書では暴言・課金などゲームと動画にまつわる困りごとにも言及。
言葉づかいが気になった時は相手ではなく自分を主語にした「I」メッセージで伝えること、課金のルールを決める時に気を付けるべきことなど、親が抱きがちな悩みに具体的な解決策を提示してくれます。
もっと深い状態、いわゆる“依存症”を心配している方にはチェックシートや簡単なスクリーニングテストも用意。依存とは「思考がそれにとらわれていて、思考や行動がそれら中心になってしまう状態」を指すとのこと。
悩みを抱えている場合は家族で抱え込まず、知人や学校、専門機関へ相談してみることをすすめています。
本書を読んで改めて感じたのは、子どもとのコミュニケーションの大切さ。子どもがどんなゲーム・動画に夢中になっているのかを知らなければ、良しあしを判断することもできません。逆に子どもが興味のあることについて普段親が理解を示していれば、もし年齢にふさわしくないものに手を出してしまった時も「これはここが良くないと思う」と話し合うことができる、交渉力が生まれます。そしてそれはゲーム・動画に限らず親子関係全般に言えること。ゲーム・動画と聞くと未知なものに対しての恐れのようなものも抱いていた私ですが、これからは親子ともに前向きにデジタルコンテンツと向き合えそうです。
文=原智香