第14回「高台家の人々」/鈴原希実のネガティブな性格がちょっとだけ明るくなる本

マンガ

更新日:2024/10/21

鈴原希実

みなさんは普段、妄想をよくする方でしょうか?

私は、最近はあまりしないのですが、小学生の頃はよく「ピンチのときにみんなをこうやって守るんだ!」みたいな妄想をしていたものでした。

頭の中で楽しく妄想を繰り広げていくと、凄くわくわくした気持ちになりますよね。

今回紹介する作品は、そんな妄想にまつわるお話です。
作品のタイトルは「高台家の人々」。

この作品には、ものすごく奇想天外な妄想をする女性が登場します。
その名も平野木絵さん。

あまり話すことが得意ではない彼女は、おっとりしていて物静かな印象があるのですが、いつも頭の中ではユーモラスでちょっとくだらないような、思わずクスッと笑ってしまう妄想で溢れています。

そんな彼女の妄想は、いつも彼女の頭の中だけで繰り広げられていたため、今まで誰にもバレていなかったのですが…。
ある日同じ会社に、名門高台家のエリート社員・高台光正が転勤してきます。
彼はなんと人の心が読める「テレパス」の持ち主でした。
偶然同じエレベーターに乗り合わせた2人。
木絵さんの脳内から溢れ出る面白い妄想が光正さんのツボに刺さり、2人の仲が次第に進展していくというストーリーです。

私はこの作品全体に漂う、独特の柔らかく温かい雰囲気が大好きです。

そしてその雰囲気はきっと木絵さんの人柄と妄想から来るものなのではないかと感じています。

人の心が読める能力というのは一見すごく便利なように思えますが、光正さんにとっては人間関係を築くことを躊躇ってしまう1つの要因になっていました。

そんな光正さんにとって、木絵さんの存在は本当に特別なんだろうなと感じます。

この作品を読んでいると、誰かから見て「くだらない」と切り捨てられてしまうものの中に、意外と大切なものが隠れているのかもしれないと思うのです。

木絵さんの妄想は誰かから見たら「くだらない」と思われてしまうかもしれない。

でも光正さんにとってはかけがえのないもの。

くだらないと言われることを人生から省くと、一瞬効率よく感じるかもしれませんが、人生から色が失われたように感じるのではないかと私は思います。

そのくらい、私は「くだらないこと」が大切だと感じているのです。

自分にとっての「くだらないけれど大切」なことを大事にしていけば、より人生が豊かになるのではないかと思います。

ぜひ皆さんも木絵さんの妄想を読み、くだらないことの大切さを感じてみていただきたいです。

鈴原希実

<第15回に続く>

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