トリケラトプスとサイ「どちらのツノもかっこい!」似ている動物が登場し、子どもの好奇心を刺激する恐竜絵本

文芸・カルチャー

公開日:2024/7/25

きみ、だあれ?
きみ、だあれ? きょうりゅう』(そく・ちょるうぉん:絵、聞かせ屋。けいたろう:文/KADOKAWA)

 信じられないほど大きく、強く、そしてかっこいい。でも、実際に動く姿は見られない……。

 そんな「恐竜」は、小さな子供が大好きな存在の一つ。恐竜のイラストが描かれたTシャツや、恐竜の図鑑や絵本がずーっと人気なのは、この古代生物に子供の好奇心をくすぐる要素がたくさん詰まっているからなのだろう。

きみ、だあれ? きょうりゅう』(そく・ちょるうぉん:絵、聞かせ屋。けいたろう:文/KADOKAWA) は、そんな恐竜の魅力が、子供向けに目いっぱい表現された新作絵本だ。

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 実際に子供を育てる筆者が読んでも(そして読み聞かせをしてみても)、この本には子供の好奇心をくすぐる工夫が多く感じられた。

 まず1つは、表紙のトリケラトプスとサイのように、「今も動物園で見ることができる動物」と、それに似た要素を持つ恐竜が一緒に登場すること。

きみ、だあれ? きょうりゅう

 そのため親としては、「このツノがある生き物は何だろうね?」「サイみたいだけどサイじゃなくて、トリケラトプスっていう恐竜なんだよ」「でも同じようなツノがあって、どっちもカッコいいねぇ」「戦ったらどっちが強いんだろうねぇ?」と子供に話しかけながら読み聞かせができる。また子供は、自分の知っている動物を起点に、恐竜への想像を膨らませられるのだ。

 見開きいっぱいに描かれた恐竜の絵も、その規格外の大きさと迫力が伝わりやすくて、とてもいい。一緒に登場する動物と比較しながら、「この恐竜はキリンさんよりも首が長いんだよ」なんて話しながら読めば、子供は「えーっ!」と驚いてくれるはずだ。

きみ、だあれ? きょうりゅう

 なお恐竜が鮮やかな発色で描かれていることが多いのも、親としては嬉しいポイント。まだ十分に文字が読めない&言葉が分からない子供に読み聞かせをしても、子供は楽しく絵を眺めてくれるはずだ。

 ちなみに、この絵本に登場するティラノサウルスは、背中に鬣(たてがみ)のような毛が生えているのだが、これは「ティラノサウルスには羽毛が生えていた可能性がある」という近年の研究結果も踏まえたものなのだろう。そうしたマニアックなポイントも抑えられているのも素晴らしい。

きみ、だあれ? きょうりゅう

 なお1人の父親としては、巨大な動物よりも何倍も大きい恐竜の姿を眺めることで、「恐竜に憧れていた子供の頃の自分の気持ち」も蘇ってくるのが感じられた。子供に絵本を楽しんでもらうには、親自身が絵本の内容にワクワクできることも大事。はじめて絵本の読み聞かせに挑戦する新米パパが、子どもと一緒に楽しく読む絵本としてもオススメの1冊だ。

文=古澤誠一郎

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