アニメ『モノノ怪』が17年の時を経て遂に劇場版公開!“何か”が蠢く大奥を舞台に、薬売りが対峙する怪異の正体、そしてたどり着く真実とは?
PR 公開日:2024/7/25
2024年7月26日公開の注目のホラーアニメ大作『劇場版モノノ怪 唐傘』。もとは2006年と2007年にフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放映された作品で、謎多き男・薬売りが数々のモノノ怪と対峙する独特の世界観が注目を集め、「ノイタミナ」歴代放映作のファン投票でも上位の人気を誇っている。
そしてテレビ放送から17年、満を持して完全新作の劇場版が公開に。
新作の舞台は「大奥」。世を統べる天子様の世継ぎを産むために各地から美女、才女たちが集められた「女の園」であるとともに、表の政治を裏で操る重要な役割を果たすとして、数々のドラマや小説でも舞台となってきた「特別な場所」だ。本作で特に注目されるのは、その独特で濃厚な世界観。天子様が渡る御鈴廊下など大奥らしい風景は出てくるが、どの場面を切り取っても大和絵や浮世絵などの「和」の世界とエキゾチックで無国籍な世界が混沌と混じり合う異質なもの。極彩色で豪華絢爛、まるで万華鏡のようなその世界は、観る者をあっという間に物語の中に引きずり込んでしまう。
物語は天子様と正室との間に子が生まれることを祝う「大餅曳(おおもちひき)」という大きな祭りの準備で賑わう大奥に、新人女中のアサとカメが奉公に上がるシーンから始まる。キャリアアップを目指す才色兼備のアサに対し、御中臈(天子様や御台所の身辺を世話する重職)に憧れるカメ。正反対なふたりだったが、大奥で信仰される“御水様”に「自分の大切なもの」を捧げ、大奥という集団に染まるための初日の儀式をきっかけに親しくなっていく。数日経ってもなかなか大奥での仕事に慣れないカメの一方で、アサは御年寄の歌山に目をかけられて一足飛びに出世することに。嫉妬、猜疑心、エゴ……。アサの出世に刺激されたのか、次第に女たちの抱える「情念」が染み出し始め、渦を巻き、どこからともなく傘がカラカラと回るような異音が響く中で、大いなる悲劇が起きる。
実は「大餅曳」は安産祈願の祭りであり、本来ならば出産前に行われるはずだったものが、なぜか2カ月も延期されていたのだ。一人の女中の失踪も関わっているというその謎は、やがて「怪異」と繋がっていく。怪異が登場するとなれば、活躍するのはもちろん「謎の薬売り」(テレビシリーズより一層鮮やかに描かれる薬売りはパワーアップして見える)。
早くから怪しい気配を感じとったのか男子禁制の大奥の入り口で静かに探っていた薬売りだったが、いざ怪異が出現すると制止を振り切って大奥の中心まで分け進む。が、モノノ怪を斬り祓うことができる退魔の剣は、そのモノノ怪の「形」「真」「理」の三様が揃わなければ封印を解き抜くことが叶わない。薬売りは、歌山から特別に大奥に留まってモノノ怪を退治するよう任を受けことになる。一体、大奥に巣食うモノノ怪にとっての「真」「理」とは何なのか。淫靡でミステリアスな大奥で、薬売りは一体何を見つけるのか。女たちの情念が絡み合うダークな謎解きを味わえるのも本作の大きな魅力である。
大奥で信仰される“御水様”の加護を受けるために井戸から汲まれる水を女中たちが飲む謎の儀式、天子様と御中臈の床入りの儀式めいた異様な情景、井戸の奥に広がる不可思議な世界。大奥の風景は怪しさ満点で、さまざまな怪異が蠢いていそうである。うっかりするとあなたも、毒々しくも悲しい女たちの「闇」に絡め取られてしまうかもしれない……。
文=荒井理恵
『劇場版モノノ怪 唐傘』
声の出演:神谷浩史 黒沢ともよ 悠木碧
制作:ツインエンジン EOTA
配給:ツインエンジン ギグリーボックス
2024年7月26日(金)より全国公開
https://www.mononoke-movie.com/
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