美肌、整形、痩身ーーコンプレックスを煽る広告が溢れる世の中。大人気マンガ『メンタル強め美女白川さん』最新巻は現代に自分を愛するヒント満載
公開日:2024/7/27
彗星のように現れたメンタル強め美女・白川さんも、もう6巻。
“私は私、可愛く、強く!”をモットーに生きるOL・白川さんの日常を描いた大人気シリーズ『メンタル強め美女白川さん』(獅子/KADOKAWA)。6巻ではますますパワーアップ! さらにパワフルで最強な白川さんとその仲間たちは、今回も悩み、迷いながらも自分自身を一生懸命生きています。
巻を重ねるごとにはっきりしていくそれぞれの「生き方」。それでもみんな仲良し!
前半は、おなじみの「フルーツ4人娘」、前巻で登場した今ドキっ子・星羅たちの日々のつまずきや嘆き、そして白川さんと過ごす素敵な時間が描かれます。巻を重ねるごとに彼女たちは徐々に変化し、生き方やそれぞれの違いが鮮明になってきています。しかし、お互いを思いやる友情は変わらず!
例えば、登場当初は白川さんのことが気に食わなかった梅本さんですが、今ではすっかり仲良しさん。本来の負けん気や芯の強さを保ちながらも、ツンデレで可愛らしい一面も見せてくれます。
「梅本さんのお疲れ様」のエピソードは、「わかる~!!」となる人も多いのではないでしょうか。私は頷きながら読みました。ついだらだらスマホを見て、後悔したことは数知れず……。
どちらにせよ、時間はとりもどせません。ならば、「私って本当にダメ」と思うより、「いっぱいいっぱいだったんだね、お疲れ様!」と言ってあげたいですよね。
「お祝い事と白川さん」では梅本さんの素敵な部分が描かれています。このページでは梅本さん、お顔がとんでもないことになっていますが……。
自分の現状を受け入れ、人の幸せをお祝いできる梅本さんはとても素敵ですし、白川さんの優しさもしみいるひとコマ。ふたりの友情がずっと続いてほしいと願わずにはいられません。
つい卑屈になりがちで、自分に自信がなかった町田さんにも光が差し込むような、変化が起きています。「町田さんの黒髪」では、自分が持つ「黒髪」というパーツを、「好き……かも」と自覚し、丁寧にケアするようになりました。自分のことを大切にするとは、いたわる、慈しむ、愛するということ。ときにはネイルケアやフットケアなど自分の身体をメンテナンスする時間を持ってあげることも大切。まさに「ご自愛ください」ですね。
初の子育てに悩む水沢さん、白川さん(母)と巡り合う
後半はオムニバスから一転して、白川さんと同じ会社に勤務する水沢さんが主人公。
白川さんたちとは全く違う属性・38歳で初めての子育てに挑んでいる水沢さん。その困難と戸惑いの日々が描かれます。
子育て中は何かと孤独になってしまうものです。人とのつながりを求めてSNSを見ると、さまざまな意見が目に入る。他の子の成長を、どうしても自分の子どもと比べてしまう……。
子育ての難しさ、お母さんの辛さは読んでいてぴりぴりするほど伝わってきます。コロナ禍では、児童館や図書館といった、子どもが集まる公共施設にも行けず、交流できなかった親御さんが多かったと聞きます。そうでなくても、赤ちゃんがいると、慣れないうちは外出も難しいものです。
苦しむ水沢さんが出会って仲良くなったのは……なんと白川さんのお母さん! Part.1〜9にわたるこのエピソードのタイトルは「白川さんたちと水沢さん」なのですが、そっちの白川さんでした。
私たちはその壁越しに
安否確認をするくらいはできる
自分以外の事情や気持ちは、わかりません。自分と同じ状況の人はいないので、「壁」を作って衝突を避けようとすることも起きます。それでも、壁越しに会話することはできるものです。
ラスト、時短で職場復帰した水沢さんは、白川さん(娘)とも出会います。小さな偶然の出会いが連なって、新たな人間関係が構築されていく。これも長期刊行ならではのお楽しみではないでしょうか。
女子じゃなくて、「わたし」「わたしたち」を肯定して応援してくれる白川さん
今回も全編を通じて、白川さんは一生懸命、私たちに力をくれます。それにしても、メンタル強め美女という単語、なんと素晴らしいのでしょう。タイトルを口にするだけで脳がポジティブになりますよね!
辛いことも苦しいことも、大変なこともあるけれど、私たちは毎日を生きている。白川さんたちがくれるパワーで、明日も頑張れそうです。
文=宇野なおみ