『私、「サレ妻予備軍」になりました。』（サレ妻予備軍ちゃん：原案、リアコミ：編集協力、ぱんがゆ：漫画/ KADOKAWA）は、夫の不倫を疑う妻・ミコトの葛藤と人並み外れた行動力を描いた作品である。ある日、ミコトは夫のシャツに身に覚えのないラメが付着しているのを発見する。そこからミコトの「サレ妻予備軍」としての生活が始まる。

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　ミコトは、SNSで情報収集する中で、夫と親しげなやり取りをしている不倫相手らしきアカウントを発見する。夫の不倫を確信したミコトは、探偵や弁護士の協力を得ながら、反論を許さない離婚と慰謝料請求の準備を進めていく。

　この作品の最大の見どころは、サレ妻としての自分の境遇を冷静に分析し、自分の境遇すら利用して情報収集するミコトのしたたかさにある。ミコトは、｢サレ妻予備軍ちゃん｣と自らを名乗り、SNSのアカウントを期間限定で開設し、SNSから有益な情報を探しまくっていく。

　夫の不倫を確信してからのミコトは、不倫の事実を知りながらも、どこか｢再構築｣の道を探るが、淡い期待は夫と義母、不倫相手の自分本位な言動にそれも儚く散っていく。離婚への踏ん切りをつけたミコトは、いかに夫と不倫相手にぎゃふんと言わせるかに全身全霊を注ぎ、離婚&慰謝料請求という次のステップに向けて、したたかに準備を進めていく。その用意周到っぷりたるや、全てのサレ妻予備軍の方に知ってもらいたいステップが満載である。

『私、「サレ妻予備軍」になりました。』は、サレ妻予備軍の視点から描かれた不倫問題をリアルに描き、離婚や慰謝料請求に向けた実践的な対処法を教えてくれる作品だ。ミコトの行動力と冷静さは、同じ境遇にある読者に勇気を与えてくれるに違いない。また、SNSを活用した情報収集や探偵の活用の仕方、法的準備など、被害者として慰謝料を請求しつつ次のステップに進むための実用的なガイドとしても役立つだろう。

文＝ネゴト/ ニャム