儒烏風亭らでんの落語がたり!③『死神』前編/あの有名曲の元ネタ、神のみぞ知る
更新日:2024/9/13
こんにちは! 儒烏風亭らでんです。第2回の記事も見ていただきありがとうございました! さて、さっそく今回も「落語がたり」をしていきたいのですが…
実は私はReGLOSSという音楽ユニットに所属しています。歌とダンスの活動に積極的に挑戦する、というコンセプトのユニットです。そこで今回は歌と落語に関わるお話を書いていこうと思います。そしてここに季節の噺「怪談噺」も加えて、暑い中でもひやっとするようなお話です。ぜひ最後までご覧ください。
【ちょこっとコラム】
・落語のジャンル
実は落語とひとくくりにしても、そのお話の種類にはさまざまなものが存在します。
まずは「古典落語」と「新作落語」です。こちらは江戸から明治にかけてつくられた落語を「古典落語」、それ以降につくられたものを「新作落語」と分けています。
それから話の内容でもジャンル分けされています。コミュニケーションから生まれる人々の温かさや厳しさを語り、ときには涙を誘う「人情噺」、短いお話の中でたくさん笑いが巻き起こる「滑稽噺」、そして今回のおどろおどろしい「怪談噺」などがあります。
みなさんは米津玄師さんの「死神」という楽曲をご存じでしょうか?
この曲、実は古典落語が元ネタなのです。
その古典落語とは曲のタイトルそのままの「死神」です。こちらは怪談噺として有名ですね。
と、ここまではご存じの方も多いでしょう。では「死神」とはどのようなお話なのでしょうか。一緒に見ていきましょう。
多くの方が米津さんの「死神」を聴いて「アジャラカモクレンテケレッツノパー」ってなんのこっちゃと思うでしょう。
そして「死神」ではサビの最後で「面白くなるとこだったのに」という一文があります。
この2つのポイントは古典落語「死神」を理解しているとより面白くなります。
さて、この言葉の背景にあるストーリーをひもといていきましょう。
暗い道を歩いている一人の男、この男は仕事も上手くいかず、家族からは甲斐性なしと罵られ「死んでしまおう」と考えます。どう死のうか考えている男の前に死神が現れます(この死神の演じ方も落語家さんによって異なるので面白い!)。
この死神、ノートを持っているわけでもなく斬魄刀を持っているわけでもありません。
しかし、その死神から溢れるオーラは男を信用させるのに十分なほどでした。
死神はこう言います「金儲けの仕方を教えてやろう」と。
そしてこう男にアドバイスします。
「お前、医者になれ」と。
チョッパーを誘うルフィのような誘い文句です。しかし男には医学の知識なんてものはありません。
死神の言うことには、すべての病人には目に見えない死神が憑いていて、その死神が枕元にいたら病人は助からない、しかし足元にいたら死神を消すことができるのだそうです。
ここで出てくるのが「アジャラカモクレンテケレッツノパー」です。
※アジャラカモクレンテケレッツノパーは落語家さんによって言葉が異なる場合があります
「アジャラカモクレンテケレッツノパー」を足元にいる死神に唱えると、死神が消え、病人は回復するのです。
死神は男に、病人に憑いている死神を見えるようにしてそのままどこかへ去っていきました。
<続きは本書でお楽しみください>