直木賞作家・大沢在昌の、伝説のハードボイルド小説をマンガで紹介!登場人物たちの濃すぎるキャラも魅力の『標的走路〈新装版〉』
PR 公開日:2024/7/31
小説推理新人賞を受賞した大沢在昌氏のデビュー作『感傷の街角』。その主人公が活躍する「佐久間公シリーズ」は、2000年の『心では重すぎる』まで続く、大沢氏を代表する人気作だ。その長編第一弾で、ファンの間で「伝説の長編」と呼ばれる『標的走路』は長らく入手困難だったが、このたび「新装版」として復活。2024年7月10日に発売された。初版から30年以上の時を経て、ファンの手元に再び届いた新装版は、発売1ヵ月足らずですでに多くの反響を呼んでいる。
物語の舞台は1980年代。佐久間公は法律事務所の失踪人調査人として働いているが、ある早朝、彼の車に爆弾が仕掛けられる。公は命を狙われながらも、仕事で依頼された失踪事件の謎と、友人が通うジャズバーのボーイの行方を同時に追う。警察幹部や情報屋の協力を得ながら、公は、東京、軽井沢で、次々に襲う困難や強敵と戦うが、真相に近づく中で、国家や産油国に関わる巨大な陰謀に巻き込まれていく。
おしゃれで音楽、酒が好きで、遊ぶのは六本木。クールで頭脳的だが、野心あふれる若き日の佐久間公がとにかく魅力的な本作。公が標的として追われながらも標的をダイナミックに追っていく姿と、濃厚な熱いハードボイルドの展開から目が離せない。すでに新装版を読んだ人の反応からは、本作と80年代に出会い、新装版で今回、読み直して面白さを再確認した人が多いことがわかる。
「この小説は決して古びてはいなかった。あの頃も今もこんな男でいたかった」「何十年かぶりの再読。行間から佐久間公の若さと感傷がにじみ出てくる文体が当時もこんなに魅力的だったっけ」「時代的に関越道が未開通など、懐かしいポイントが目白押しだった。大沢作品はやっぱり面白い!」など、ネット上には、現在も色あせない作品の魅力に驚く声が溢れている。
そして、『イケメン夫はゴリラ妻とプリティ娘を愛しすぎてる』『うちのシンデレラがスパダリすぎる』などを手がける漫画家・伊達しのぶ氏(@date_shinobu)も、「時代のエモさを感じる80年代が舞台のミステリーで、重量感のあるストーリー」と、本作を絶賛。自身のXで、流麗ながらもユーモアあふれる伊達氏ならではのタッチで綴られた、『標的走路』の紹介漫画を公開している。
伊達氏はこの紹介漫画で、本作に登場する濃厚な人物たちと、自身が好きなキャラも紹介。ビジュアル化された、個性的で80年代の熱を象徴するようなキャラクターに、この物語のパワーを改めて感じる。新装版で再び本作に触れる人も、新しい読者も、自分の「推しキャラ」を見つけて読めば、この物語をもっとワクワクと楽しめそうだ。
文=川辺美希