「結婚しろ」の圧力から逃れるため“偽装結婚”。壁サーのベテラン同人作家はドルオタのボカロP(同僚)からプロポーズされ…
公開日:2024/9/4
『オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!』(七十ななそ:著、コイル:原作、雪子:キャラクター原案/KADOKAWA)では、周囲からの“結婚圧力”が煩わしくなったオタク同士が偽装結婚することから物語がはじまる。
主人公の相沢咲月は、普段は文房具会社のデザイナーとして働く同人歴15年以上のベテラン作家。会社の人には内緒で、壁サーの同人作家として活動している。全力でオタ活を楽しみながら生きてきたが、28歳という年齢から親から結婚に対する圧力をかけられていた。
何度も繰り返されるやり取りへのストレスから、同人イベントで「結婚しろといわれないために偽装結婚したい…」と愚痴っていた咲月。そんな咲月に「じゃあ俺と結婚しませんか?」と声をかけてきたのは、同僚の滝本で――!?
会社ではクールな営業の滝本は、アイドルオタクのボカロPという一面を持っていた。家事も仕事も趣味もできる「ひとりでも生きていける」オタクであるふたりは、お互いの利害が一致したことで偽装結婚することに。たとえ愛や恋がなくても、一緒にいて煩わしくない相手と結婚できるのは何ともうらやましい。
だが、実は「他の人と偽装結婚されるくらいなら、自分に対して恋愛感情なんて全くなくてもいい」という咲月への恋愛感情を抱えていた滝本。同僚でオタク仲間のシェアハウス婚という設定に、“こじらせた恋心”という胸キュンスパイスが加わり、これからの展開が楽しみになってくる。
咲月がひとりで暮らす一軒家で同棲することになったふたり。同じ作業をしたり一緒にご飯を食べたりと、初々しい共同生活がはじまっていく。中でも、オタク同士の結婚ならではの「好きなものを共有できる楽しさ」は格別だ。生き生きと推しの話をする姿は、見ていて元気をもらえるほど。そんな相手の話を聞いて、自分の世界が広がることを喜ぶ様子は何ともオタクらしい。
結婚を通してお互いのことを少しずつ知っていく過程がある一方、オタクだからこそ最初から“理解”できることもある。そのバランスがちょうど良く、読んでいてとても心地良い。
オタク同士で入籍したふたりは、これからどんな生活をしていくのだろうか。ふたりの偽装結婚ラブコメディは、まだまだはじまったばかりだ。