TVプロデューサー佐久間宣行、周囲に人が集まる理由。「ネガティブ思考」の大切さを説く新著『ごきげんになる技術』で語られた人生経験とは
PR 公開日:2024/8/16
テレビプロデューサーとして活躍する佐久間宣行氏による『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)は、自身の経験をもとに、ネガティブな感情と向き合いながら、より楽しく人生を過ごすためのヒントが詰まった指南書である。著者の人生経験を通して、その内面に迫るエピソードとともに、読者に寄り添うような温かいメッセージが込められている。
この本は「悩みや失敗は自分を知るツール」から始まり、「ネガティブを飼い慣らそう」「年代別の「諦め方」で夢は叶う」など、全9章で構成されている。1章・3章では、読者から寄せられた仕事や人間関係、生き方に関する悩みに対し、具体的な回答とアドバイスが提示されている。例えば、「人前で話すのが苦手」という悩みには、まずは「聞き上手」になることを推奨。また、「上司が仕事できない人」という悩みには、自分の価値観だけで判断せず、客観的に観察することを提案している。
著者は幼少期から抱えてきた「劣等感」や「周囲との違和感」といったネガティブな感情が、自己分析能力や観察眼を養う上で重要な役割を果たしたと語る。学生時代から、人間関係や社会構造の矛盾に目を向け、冷静に分析する彼の姿は、いわゆる「平均的な学生」とは一線を画していた。しかし、そういう経験があったからこそ、組織の中で円滑に仕事を進めるための「処世術」や、人の心を動かす「エンタメ」の世界に魅力を感じたのかもしれない。
最大の見どころは、「ポジティブ思考」一辺倒ではない、独自の視点である。「ポジティブ思考は油断になる」と断言し、むしろ「ネガティブ思考」を積極的に活用することで、より良い結果を得られると説く。例えば、番組制作においては、スタート時に最悪のシチュエーションを想定することで、成功のための戦略を練ることができると説明。また、フリーランスになることを考える際には、自身の市場価値やリスクを冷静に分析する「ネガティブチェック」の重要性を説いている。
佐久間氏のキャリアは王道からはみ出した独自の道を歩んでいる。広告業界への憧れを抱きつつも、就職活動を通してテレビの世界に飛び込み、そこで自分の才能を発揮する道を見出した。持ち前の「ネガティブ思考」を逆手に取り、「失敗を恐れずに準備する」ことや、「最悪の事態を想定した上で戦略を練る」ことを重要視する姿勢は、多くのビジネスパーソンにとっても参考になるだろう。
読み進める中で、著者の「人間としての魅力」に気づかされる。友人からの信頼も厚い彼は、周囲の人を褒め、感謝の気持ちを伝えることを大切にしている。また、「人の役に立ちたい」という強い思いから、仕事においても、失敗した人や傷ついた人々に寄り添い、再び輝けるようにサポートする姿勢を貫いている。
「ごきげんなおじさんでいたい」と語る著者。その言葉通り、全体からは彼自身の仕事や人生に対するポジティブな姿勢が伝わってくる。同時に、随所にちりばめられた人間味あふれるエピソードが、単なる自己啓発書ではなく、一人の人間の「生き様」を感じさせる作品に昇華させている。
率直な言葉と独自の視点は、読者に自身の人生を見つめ直すきっかけを与えてくれる。ネガティブな感情と向き合いながらも、それに振り回されることなく自分自身の「ごきげん」を保つ方法を探る過程は、読者自身の人生にも新たな気づきをもたらすだろう。
この本を読み終えたら、あなたも自分なりの「ごきげんになる技術」を見つけ、実践してみてはいかがだろうか。きっと、今までとは違った角度から人生を楽しむヒントが得られるはずだ。佐久間氏の経験と知恵を借りながら、自分らしい「ごきげん」な人生を切り拓く一歩を踏み出せるかもしれない。
文=篠原舞