閉ざされた箱庭で密やかな恋が育まれていく、ミステリアス×依存BL。「シリアスな展開に心打たれる」「禁忌な感じが好き」と話題の新作が発売
更新日:2024/8/12
ここにないのは自由と女だけ――。2024年8月5日(月)、ウェブマガジン「花丸漫画」発のボーイズラブ作品『Odds and Ends オッズ・アンド・エンズ 薬袋×奈良崎』の単行本が上・下巻で発売された。閉ざされた箱庭で育まれる密やかな恋模様に、大きな反響が集まっているようだ。
著者の暮田マキネは2011年に別名義でマンガ家デビューし、2014年に初のBL単行本となる『僕の可愛い酔っぱらい』を発表。その後も『シュガーベイブ』や『助教授の初恋ケーススタディ』など、数々のBL作品を世に送り出している。
そんな暮田が今回手掛けたのは、全寮制の男子校で繰り広げられる“ブラザーラブ”。物語の舞台となる「私立七星学園」は“ここにないのは自由と女だけ”と言わしめる贅沢な学び舎である一方、金とコネさえあればどんな問題児でも受け入れる特権階級御用達の隔離施設となっていた。
同校の生徒たちが一日の大半を過ごす学生寮は全部で四棟あり、そこには英国寄宿舎学校の「ブラザーシステム」に倣った独特な風習が存在する。相部屋となった新入生を「リトル」、2年生を「ブラザー」と呼び、疑似兄弟の関係を結ばせているのだ。
物語の主要人物である薬袋は「白秋」のフロア長を務めているが、かつては問題児のレッテルを貼られていた生徒で、同室のブラザー・奈良崎も非常に手を焼いていたという。そんな二人が辿った秘密の物語が今、紐解かれていく――。
当初の薬袋は心を閉ざしていたが、奈良崎の優しさに包まれたことで立ち直っていった。やがて奈良崎を心の拠り所にするようになっていくが、あるとき彼の友人・乃蒼と出会ったことで知られざる事実に触れてしまう。そこから変化していく薬袋と奈良崎の関係が、同作の読みどころとなっている。
ピンク一色というよりは、どこか文学的に描かれていく二人の恋模様。連載時から好評を博しており、読者からは「どっぷりとお互いに落ちていく様を描くのがお見事です」「謎めいた雰囲気のストーリーにマキネさんの艶のある美しい絵がピッタリ」「こういう外界とは隔離された男子校、しかも寮でのBLっていう禁忌な感じが好き」「毎回どこか闇を抱えたキャラクターと、シリアスな展開に心打たれる……」といった感想が寄せられていた。
舞台設定もさることながら、疑似兄弟関係というだけで食指を動かされる人も多いはず。まだ読んだことがないという人は、暮田が紡ぐ鬱屈としながらも美しいボーイズラブの世界に触れてみてはいかがだろうか?