シリーズ累計発行部数100万部超え!『悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~』の魅力って?

マンガ

公開日:2024/8/10

悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~
悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~ その1』(のこみ:漫画、七夕さとり:原作、Tea:キャラクター原案/KADOKAWA)

 もし自分が悪役令嬢に転生したら、しかもいずれ敵として最強になることが約束された存在だったら、どんな人生を計画するだろう? 『悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~』(のこみ:漫画、七夕さとり:原作、Tea:キャラクター原案/KADOKAWA)は、まさにそうした乙女ゲームの裏ボスに転生していると気づいてしまった少女の、平穏を求めて迷走する無双ファンタジー。

「カドカワBOOKS」より刊行されている小説を原作としている本作は、今年2024年1月~3月にはテレビアニメも放送され、シリーズ累計発行部数100万部超えの超人気作となっている。また、「B’s-LOG COMIC」でも連載中のコミカライズ版は、現在4巻まで出ている。

 本作品の主人公は、かつての魔王と同じ黒髪という理由で忌み嫌われている少女ユミエラ・ドルクネス。ユミエラは、前世の記憶を取り戻したことで、自分がRPG系乙女ゲーム『光の魔法と勇者様』の世界に悪役令嬢として転生してしまった元日本人であることを知る。しかもただの悪役令嬢ではなく、ラスボスを倒したあとに現れる、超絶強い裏ボスでもある。ユミエラは、ヒロインで光属性を持つ主人公アリシア・エンライトや攻略対象たちに討伐される未来を回避すべく、「裏ボス回避人生計画」を立てることにしたのだった。

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 幼少期からダンジョンにこもって自身のレベルを上げ、入学後はヒロインや攻略対象との遭遇を回避し、魔王が復活した暁には攻略対象たちと討伐へ向かって遂行すれば万事解決――と画策していたユミエラだが、入学早々レベル測定で「レベル99」をたたき出し、学校中から注目されることに。しかも初対面であるはずのアリシアからは、なぜか異様なほどに警戒されていて――!?

 ユミエラは、自分ではなくヒロインや攻略対象に主役としての役割を果たしてもらえるよう、あれこれ手を尽くす。だが彼女は、本来ならパーティーを組んで入るような危険なダンジョンへ一人で赴き、魔物を呼び寄せては片っ端から討伐してしまうような、少し常識からずれた感覚を持っているタイプだ。しかも圧倒的な常軌を逸した強さ。それゆえにあっという間に目をつけられ、挙句の果てには魔王疑惑までかけられてしまう。

 ユミエラはいたって真面目に、自分を守るために考えながら動いている。しかし感情の起伏が乏しい淡々とした物言いと激しい内容のギャップ、鋭いツッコミやバッサリ斬るような心の声の中毒性が凄まじく、あっという間にその魅力の虜になってしまった。何事にも動じないメンタルの強さも、さすが裏ボスでもある悪役令嬢! ユミエラが見せる「精一杯の笑顔」や「雑談三種の神器」にも、ぜひとも注目してほしい。

 また、1巻後半では、アリシアがユミエラを警戒していた予想外すぎる理由も明かされる。これがまただいぶ深刻そうな事態なのだが、それと同時に面白すぎてずるい。そりゃあ猫にも逃げられるわ! ユミエラの「裏ボス回避人生計画」は、まだまだ始まったばかり。引き続き彼女の動向を、周囲の反応を、見守っていきたい。

文=月乃雫

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