大空翼は、マドリッド五輪でミカエルに勝利できたのか?翼たちのラストシーンを残すために描かれる『キャプテン翼』の続編

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PR 公開日:2024/8/9

キャプテン翼
キャプテン翼 ライジングサン』(高橋陽一/集英社)

 1981年の連載開始から40年以上にわたり連載され、日本のみならず海外でも多くの読者から愛されたサッカー漫画『キャプテン翼』(高橋陽一/集英社)。日本サッカー黎明期から、世界一のサッカー選手になることを目指して奮闘する主人公、大空翼。対峙するライバルたちと激闘の末、勝利していく劇的な展開が魅力の作品だ。そして2024年4月、シリーズ最終章となる『キャプテン翼 ライジングサン』が遂に最終回を迎えた。

 物語は大空翼率いるU-23日本代表がマドリッド五輪準決勝で強豪スペインと激闘を繰り広げる最中、翼が相手エースのミカエルと激しく衝突し、空高くボールが舞い上がったタイミングで終幕を迎える。

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 スペインの名門バルセロナに渡りリーグ優勝を経験した翼。小学生時代からしのぎを削ったライバルでイタリアに渡りストライカーとして更に成長を遂げた日向小次郎、翼の永遠のゴールデンコンビ岬太郎といった黄金世代で挑むマドリッド五輪日本代表の活躍が『ライジングサン』では描かれる。準々決勝では強豪ドイツ五輪代表を相手に延長戦にまでもつれる大激闘の末勝利し、スペインとの準決勝に駒を進める。

 既に決勝進出を決めているブラジル代表と戦うためにも絶対に負けられない戦い。スペイン代表のエース、ミカエルはセグウェイドリブルという、ボールの上に自身が乗っかり、まるでセグウェイのように自在に進んでいく超技巧を見せるなど、時に翼をも凌ぐ神技プレーを披露し日本代表を追い詰める。そして試合は終盤に突入していく。

キャプテン翼 ライジングサン

 そこで描かれていたのは、最終回だからといって唐突にまとめられたり大幅に展開を省かれたりしたものではなく、清々しいくらいにいつもの『キャプテン翼』だった。そして最終回の余韻に浸る間もなく読者に告げられた驚きの発表が、続編となる『キャプテン翼 ライジングサンFINALS』のネーム連載の決定だ。

 これまでの作品の熱量そのままに、作者の高橋陽一先生自らの手で描かれた物語の続きが見られることは読者にとってこの上ない喜びだ。当然ペン入れはされていないため、キャラクターの細かい表情までは読み取れない部分はあるものの、それを差し引いてもひとつひとつのプレーの躍動感や「なにィ!?」「うっ」といった古参の読者にはお馴染みの、作中に頻出するパワーワードを見つけるたびに思わずテンションが上がってしまう。

キャプテン翼 ライジングサン

 また、往年のファンであれば、ネームを読みながら自身の脳内でペン入れが施されたイメージを思い浮かべることすらできるだろう。

 作者の高橋陽一先生は『キャプテン翼』の最終回までの構想があると言っており、ネーム連載という形であれば思い描いている本当のラストのシーンまでも「残す」ことができるかもしれない、と今回の決断をされたのだそう。

 現在描かれているオリンピック編の続きの『キャプテン翼 NEXT DREAM』。そしてその先の『キャプテン翼 ワールドカップ編』で大空翼がワールドカップを掲げる姿をネームという形で描き切ってくれるかもしれないというワクワク感。それはまさに、作品の連載開始当初から翼たちが魅せてくれた「サッカーは自由だ。だからこんなにも楽しいのだ」というシンプルなメッセージを、全く新しい自由な連載形式で伝えてくれているのだと確信している。この物語の行く末を、どうかワクワクしながら楽しんでほしい。

文=ネゴト/ もり氏

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