実は私自身もこれまで投資をやったことはなく、「やった方がいいんだろうけど、難しそうだしまあいいかな」と思っていました。昨今は、株価暴落のニュースも報じられ「投資は怖い」という不安を拭いきれない人も多いのではないでしょうか。かくいう私もそんなひとりでしたが、本書を読んで投資に前向きになれたので、特に印象的だった内容を紹介します。

投資って、大損しそうで怖い！

　櫻井さんも詐欺に遭ったように、浅い知識で手を出したらとんでもないことになるのでは……。そんな恐怖を感じているのは私だけではないと思います。そこで櫻井さんがまず提案するのが、「リスク許容度を決めておくこと」。前提として、投資に“絶対儲かる”はあり得ません。リターンを求めれば、同じくらいリスクも増えます。そこで「もし損失が出た場合、どのくらいまでなら許容できるか」を最初に決めておく必要があるというのです。

　リスクの許容度を最初に決めて、長期的な視点で運用していくのがベストという櫻井さん。さらに損失はゼロにはできないけど軽減することはできる、とのことでそのための３つの方法、「コア・サテライト戦略」と呼ばれる戦略についても本書は言及しています。

そもそも投資に回すお金がない！

　投資をするためにはまず元手になるお金が必要。でも今自由になるお金なんてないし……と投資を先送りしている人も多いはず。しかし本書で何度も繰り返されていますが、投資は期間が長ければ長いほどよく、同じ金額を投資に使ったとしても期間によってリターンは大きく変わります。たとえ少ない金額でも、今すぐ投資に回すことが利益を生むのです。そこで投資に回すお金＝タネ銭を作るための節約法を伝授。

“節約”と聞くと、贅沢を我慢するイメージになりがちですが、一度高い食事を我慢するだけでは効果は薄いし、何度も何度も我慢を続けるとストレスが溜まります。そうではなく固定費を見直し、お金が溜まる仕組みを作るのが重要と本書は伝えます。固定費とは、

1.光熱費　2.通信費　3.車の維持費　4.住宅費　5.保険料

　の5つ。これらを中心にチェックシートも使って今の生活を見直し、ストレスなくお金が溜まる方法を見つけることができます。

現金・預貯金だけの人が損をする!?

　ここまで読んで「投資がいいというのはわかったけど今特に困ってないし、このまま普通に貯金していけばいいかな」と思ったそこのあなた。現金を銀行口座で貯金しておくだけでは現状維持が不可能なのが今の世の中なのです。もちろん理由はインフレ。本書によると日本銀行は「毎年2％のインフレ率が理想」と目標を掲げていますが、物価が20年間毎年2％上昇したら、現金100万円の価値は67万円に目減りしてしまいます。

　インフレでありながらも、日本の平均給与額は30年間ずっと横ばい。少子高齢化で年金制度の崩壊もささやかれており、これまで見てきた自分の親世代・祖父母世代の“普通”の生活が、同じようにしていれば自分にも手に入るとは言えない時代になっているのです。

　本書を読んで感じたのは投資とはお金を生み出す仕組みを作ることなのだということ。これまで投資は知識を蓄えた人が常に株価とかを気にしながらやるものと思っていました。しかし本書を読んで、最初に自分に適した方法を選び定期的にチェックさえすれば、毎日お金に頭を悩ませなくともお金を増やすことができるのかもと感じました。私も早速、初めての投資に挑戦してみようと思います！

文＝原智香