「育児には意外な“キュン”が溢れています」少女漫画風に描いた息子たちとの日常。そんな大胆発想が生まれた理由と伝えたいメッセージとは?【著者インタビュー】
公開日:2024/8/29
「キュンキュンする!」「可愛すぎる!」とSNSで大人気のコミックエッセイ『男児2人育児を少女漫画風に再現してみた話。』(にしみつ/KADOKAWA)。書籍の発売を記念して、著者・にしみつさんに、育児の日常を少女漫画風に描くというユニークな発想のきっかけや、創作の裏話についてお話を伺いました。
――育児の日常を少女漫画風に描くというアイデアは、どのようにして生まれましたか?
にしみつさん(以下、にしみつ):育児をしていると、毎日の中の本当に一瞬なんですが、ときめいたりキュンとしたりする瞬間があって、その感覚が「少女漫画に似てる……!」と思ったのがきっかけです。
ちなみに、主人公の「ミキ」という名前は実は私の本名ではなくて、子どもが当時ミッキーマウスのぬいぐるみを「ミキ」と呼んでいたことに由来しています。
――作品中で、特に思い入れのあるエピソードを教えてください。
にしみつ:やっぱり一番最初に描いたプロローグのお話ですかね。少女漫画風にして描きたいと思ったきっかけなので。
――「少女漫画風」と「現実」を対比させる際に意識したポイントはありますか?
にしみつ:少女漫画風の時と現実の時で絵のタッチを変えて、最後に現実に引き戻されるように意識しました。
――育児と創作活動の両立はどのようにされていますか?
にしみつ:夜は子どもたちと一緒に寝て、朝早く起きて自分のひとり時間を確保しています。
この4月から上の子(つむちゃん)が小学校に入学して、当初は登校など親子でちょっと苦労したこともあったのですが、今は少しずつ慣れてきて、下の子(いおくん)も保育園に通っているので、日中もお仕事の時間が取れるようになりました。
――SNSでの反響についてはどのように感じていますか?
にしみつ:育児をしている皆さまから、共感の声をいただいけて本当にありがたいです……!
――ご自身の育児体験を共有することの意味や価値について、どのようにお考えですか?
にしみつ:SNSを通じて、他の方たちと育児体験を共有することで、1人じゃない、自分だけじゃないと思えるのは、育児をする上でとても心強いものだと感じています。実際コメントでも共感していただいている声も多く、ご自身のエピソードを共有してくださる方もいて、私自身も共感したり。それはSNSで発信するメリットだなと感じています。
――キャラクター化された息子さんたちの反応はどうでしたか?
にしみつ:次男はまだ2歳なので感想はとくにありませんでした。長男は「ふぅん」でした(相変わらずの塩・笑)。
――作中ではボブ(パパ)がつむちゃんといおくんから、かなりぞんざいな扱いされていますが、最近の子どもたちにとって、パパはどんな存在ですか?
にしみつ:長男はパパイヤ期が長かったこともあり、かなり塩対応でしたが、最近はふたりで一緒にゲームをしたり、公園で虫とりをしたり(私はゲームも虫とりもヘタなので)パパにしかできないことが増えて、楽しそうに遊んでいます。次男はかなりのママっ子なので、外出時にパパが抱っこすると誘拐犯みたいになっています(笑)。
――作品に込めた「胸キュン」要素の裏話を教えてください。
にしみつ:作品に出てくるお話はすべて現実で、息子たちにキュンとしたエピソードを忠実に描いています。実際に自分がキュンとした熱量が作品に込められているので、息子たちが成長して「意外性」がなくなったら、この少女漫画風のお話も描くのはおしまいだなぁと思っています。期間限定だからこそ、描けるお話ですね。
今は毎日が意外なことばっかりですが(笑)。
――読者からの「共感」や「キュン」の声について、どう感じていますか?
にしみつ:本当にありがたいです。皆さまの声のおかげで描けたと思っています。
――作品を通じて、育児の楽しさや難しさをどのように伝えたいと考えましたか?
にしみつ:育児の大変さも妄想脳変換でクスッと笑えたり、心が軽くなったりする瞬間があることを伝えたいなと思いました。育児は大変ですが、それを相殺するくらいキュンも溢れているよ、と。
――ご自身が母親として成長したと感じた瞬間はありますか?
にしみつ:大変なことも、妄想で楽しく変換できた時……ですかね。妄想脳はかなり鍛えられた気がします。SNSでは、少女漫画風だけではなくて、少年漫画風だったり、某アニメのキャラ風だったり、いろいろ妄想を膨らませた作品も掲載しています。
――パパは育児に協力的ですか?
にしみつ:そうですね。この間私が熱でダウンした時、何も言わないでも丸一日子どもたちのこと(ごはん、歯磨き、次男のオムツ替え、お昼寝、遊び、お風呂などなど)を全部やってくれました。我が家はパパがいないと回らないです。
――育児と創作の間で葛藤したエピソードがあれば教えてください。
にしみつ:そうですね……。時間がなく、描きたくても描けない……という葛藤はあります。
――今後の創作活動において挑戦してみたいテーマやジャンルはありますか?
にしみつ:ごはん系(見ていて、美味しそう〜となる漫画)を描いてみたいなぁと思っています。
――最後に、初めてこの作品に触れる読者へメッセージをお願いします。
にしみつ:この本を手にとってくださった方がキュンとして笑って、肩のチカラがゆるっと抜ける。そんな一冊になったらいいなと思っています。
取材・文=小林紗弥香