最新の防災情報をどのくらい知ってる? 地震から津波、火災まで、様々な災害から身を守る情報をまとめた1冊

暮らし

PR 更新日:2024/9/7

防災イツモマニュアル"
防災イツモマニュアル』(防災イツモプロジェクト:編、寄藤文平:絵、NPO法人プラス・アーツ:監修/ポプラ社)

 日本に住むなら、避けては通れないのが「防災」。地震や台風など、日々起こる自然災害を数えていけばキリがない。実際に、震度4以上の地震は、観測開始以来すべての年に日本のどこかで起こっている。近年常にその危険性の高さが取り沙汰されている「南海トラフ地震」についても、多くの人が不安を感じていることだろう。

 そんなタイミングのいま、あなたはどれだけ「防災」に関する知識を持っているだろうか。あるいは、その知識は、非常時にどれだけ実際に活用できるか、いま一度考えてみてほしい。

advertisement

防災イツモマニュアル』(防災イツモプロジェクト:編、寄藤文平:絵、NPO法人プラス・アーツ:監修/ポプラ社)は、これからしっかりと「防災」を身に付けたいという方はもちろん、すでに知識を持っていると思っている方にも一度は目を通してほしい、最新の防災情報がわかりやすくまとめられている一冊。地震が起こるメカニズムや、津波や火災から身を守るポイントの違いといった基本的な防災知識に加えて、被災した際だけではなく日常使いにも適したスマホアプリについてなど、普段から取り組める防災に関しての情報が満載だ。

防災イツモマニュアルP17

防災イツモマニュアルP22

 第2章は、「避難先」に関するものとなっているが、下記のように始まる。

避難先、決まっていますか?「避難所だけはわかる」という方は、ちょっとご注意。(p.34より引用)

 多くの方が、ドキッとする内容ではないだろうか。有事の際に、自分がどこに避難するのかを確認しておくのは、すでに常識になりつつある。その一方で、近年の災害時には避難所生活での衛生問題や心理的ストレスなどのリスクについても知られるようになり、単純にひとつの場所を「避難先」として覚えておけばいいという話ではなくなってきているのだ。

 例えば、本書で推奨されているのが、あらかじめ「複数の避難先を想定しておく」というもの。まずは、「在宅避難」が可能かどうかをハザードマップでしっかりと確認、状況に応じて「指定緊急避難場所」へ行くのか、「近隣の安全な場所」でとどまるのかなど、いくつもの選択肢を持っておいて臨機応変に活用することの重要性が取り上げられている。あるいは、テント泊や車中泊も選択肢となるように、それぞれのおすすめグッズなども紹介されているため、テントや自家用車を持っている場合には、参考になる点も多いだろう。

防災イツモマニュアルP41

 他にも、私が「こんなところも防災につながるのか」と思わず唸ったのは、最終章となる「防災×イツモの暮らし」の部分。いくら防災の知識だけを詰め込んでも、知識というのは使わなければ忘れていくもの。特に、いざという時には一切使い物にならないということも有り得る。

だからこそ重要なのが「イツモの暮らし」のなかで「備える」ということ。具体的には、近所の人とあいさつをして顔見知りになる「あいさつという防災」、緊急時の安全な避難経路選択につながる「散歩という防災」など、本当に普段の生活の中で誰もが取り入れられる方法が紹介されている。すでにテント泊や車中泊についても述べたが、「アウトドアという防災」というトピックもある。

 防災の知識を持っているというのは、必ずしも「緊急時に活用できる」というわけではない。読み進める中で、そんな当たり前のことを改めて私自身が痛感させられた。防災情報のアップデートを行い、モシモの時に備えるのではなくイツモ備える、そんな姿勢を身に付けておく機会として、この一冊を活用していきたい。

文=岡本大樹

あわせて読みたい