登場人物全員がうどん好きな世界。うどんの生地を“こねこね”して生まれたねこが、うどんのコシのひみつに迫る!
PR 公開日:2024/9/7
夏休み真っ只中の2024年8月、スケラッコ氏による児童書『うどんねこ つるむちっ! コシのひみつ』(ポプラ社)が刊行された。本書は、2023年12月に出版された『うどんねこ』(ポプラ社)に続く「どどんと!うどん!ねこ」シリーズ作品の第2弾で、魅力的なキャラクターが数多く登場する。
まず、タイトルにもある「うどんねこ」は、うどんの生地を“こねこね”していたら生まれた謎の猫。まるで白玉を連想させるような真っ白でふわもちなビジュアルは、目にするだけで思わず笑みがこぼれる。そのほか、物語の舞台である「かなぼううどん」の店長・ボタンくんや、そばの生地を“こねこね”していたら生まれた謎の猫「そばねこ」など、個性的かつかわいらしいキャラクターが自由気ままに活躍する。
シリーズ第1弾の『うどんねこ』では、ボタンくんが接客の際にうまく笑えず、怖い顔のせいでお客さんが逃げてしまうことに悩んでいた。そんな彼のもとに突如として生まれたうどんねこ。「かなぼううどん」を繁盛させようとあの手この手で奮闘するうどんねこの姿は、笑いと驚きを誘い、多くの子どもたちの心を掴んだ。
続編となる本書では、うだるような暑さにお店側もお客さんも参ってしまう場面からはじまる。冷たいお茶を飲もうとボタンくんが冷蔵庫を開けると、なんとそこにはひえひえのうどんねこが。「グッドモー・ウドン!」の挨拶と共に、「ひらめきました!」と威勢よく叫ぶうどんねこ。序盤から突っ込みどころ満載で、一緒に本書を楽しんでいた我が家の次男(小学3年生)は、「なんでだよ!」と言いながら笑い転げていた。うどんねこは、朝起きるとひらめく特性を持つ。冷蔵庫の中でひえひえの状態で目覚めても、しっかりひらめくうどんねこの様相は実にシュールである。
その後、うどんねこのひらめきにより、夏らしいメニューが考案された。しかし、ひょんなことからそばねこが行方不明になってしまい、うどんねことボタンくんは町中を探し歩く。そばねこがいたのは、とある家の子ども部屋。そこには、兄のチクタくんと妹のポポナちゃんが、困り顔で佇んでいた。話を聞けば、ご家族は仕事に忙しく、夜遅くまで2人で留守番をしているという。チクタくんは「自由研究を終わらせたい」、ポポナちゃんは「プールに行きたい」と願っていた。2人の話を聞いたうどんねこ、そばねこ、ボタンくんは、どうにか楽しい夏休みをプレゼントしようと3人で知恵を出し合う。
子どもたちのために3人が行うさまざまな試みは、どれも心躍るユーモアであふれている。物語はさらにその先へ、“うどんのコシのひみつ”に迫っていくのだが、そこに行き着くまでの道中では、新たな人物との出会いが待っている。ストーリーのほか、随所に用意されたさがし絵や間違い探しなど、子どもが喜ぶ仕掛けがちりばめられているのも楽しい。
登場人物の誰もがうどんが大好きで、実に美味しそうに頬張る。その様を眺めていると、たまらなくうどんが食べたくなる。ちなみに、我が家の次男は、本書中盤に登場するおやつ作りの描写に食いつき、「これ作りたい!作ろう!」と決意を固くしていた。読んで楽しい、食べて美味しい、読後まで親子で楽しめる児童書「どどんと!うどん!ねこ」シリーズ。キャラクターの魅力と共に、本書で繰り広げられる冒険の数々を多くの方に味わってほしい。
文=碧月はる