あらすじ：
街の整体サロン「スマイリーボア」で働く主人公・直江友厚。ある日、ニット帽にサングラスの怪しい客の「ダイエット整体コース」を担当することに。キャップに隠された耳がもっこりしたその女性は、なんと異世界から来たエルフ！ ぽっちゃりエルフの絵留札さんは、体重が戻らないと異世界へのゲートがくぐれない。なぜそんなに太ったかというと……原因はフライドポテト。ダイエットを手伝うことになった直江だが、実は異世界人は近所に何人も住み着いていて……？

作中にちりばめられた「ぽてぽて」へのこだわりがスゴイ

エルフを筆頭に、ダークエルフにオーガ、オークなど、ファンタジー作品やゲームでお馴染みのキャラクターたちが、体形に悩みながら（なぜか全員女性の姿で）次々登場する本作。大変に絵がうまく、そして多大なるフェチズムを感じる。

何しろ、エルフさんの太り方が常に妙にリアル。さらに、各種キャラクターデザインの多様さと、悩みの数々。各パーツの「ふっくら」「ぽっちゃり」「もちっと感」は作品の中で燦然と輝き、同時に人間の業を非常に感じる。

と書いていたところ、アニメ版では「ぽてぽてver.」という配信版が存在しており、さらに全部丸見え（露出度アップ）の「めちゃぽてぽてver.」も作られていることを知った。ここまでくるといっそすがすがしい気すらしてくる。

ちなみに、業を感じるのはエルフさんの大好物・フライドポテトに関しても同様だ。1巻に掲載されている「エルフのポテト」は4ページのショート漫画なのだが、本当に、ただひたすら、絵留札さんがポテトをレビューしながら食べるだけである。フライドポテトのカットの名称を、私は初めて知った。そして……猛烈にフライドポテトが食べたくなってしまった。

おいしそうに食べる絵留札さんを見て、ぜひフライドポテトに頭を占められて欲しい。夜に読んでしまったので非常に後悔した。

ダイエットのやり方もしっかり紹介

絵留札さんと主人公、その仲間たちのドタバタな日常が作品の軸ではあるが、整体師である主人公の知識を活かしたダイエットやストレッチ、筋トレなどもしっかり紹介されている。

具体的なやり方などはそこまで書かれていないが、絵留札さんたちが実行している姿が読めるので、イメージもつかみやすい。ダイエットのやり方を知るきっかけにもなってくれるはずだ。彼女たちのダイエットが成功しているかどうかは一旦置いておいて……。

なんだかとっても楽しそうな絵留札さんと仲間たちから目が離せない！

フライドポテトが止められなかったり、お酒が止められなかったり、それぞれ悩みはあるけれども、絵留札さんたちは異世界である日本の街で、楽しそうに過ごしている。

日本という食の大国で人生をとことん楽しもうとすると、エルフさんじゃなくても、痩せられないのかもしれない。とはいえ、我々人間には寿命も生活習慣病もあるので、フライドポテトの食べすぎには要注意である。主人公・直江はこれだけあらゆる誘惑が多い環境にいても、ヘルシーな食生活を崩さず、運動を日々行っているので、見習いたいものだ。

『新・エルフさんは痩せられない。』でも、絵留札さんたちは楽しそうである。いつか、ちゃんと痩せるのか。これからも彼女たちのドタバタから目が離せない。

文＝宇野なおみ