『キャプテン翼』高橋陽一「良いシュートが描けるとゴールさせたい」。ネーム連載の最新シリーズで22歳の大空翼が“W杯優勝”を掴むまでの構想とは【インタビュー】

マンガ

更新日:2024/12/8

高橋陽一さん

友達に会いに行くような感覚でキャラクターを描く

――ここからはキャラクターについていくつかお聞かせください。スペイン代表のミカエルが初登場した際、スタジアム前でセグウェイドリブルしているシーンが話題になりました。

高橋:現実では多分できないんですけど(笑)、漫画の世界であれば「もしかしたらできそうかな?」と思わせるラインを狙ってはいます。過去の必殺技でいうと、スカイラブハリケーンも、もしかしたらできるかもしれないなと思いながら描きました。

――『キャプテン翼』初期、スカイラブハリケーン対策でゴールポストの上に選手たちが登るシーンも斬新でした。

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高橋:あれはちょっとやりすぎだったかもしれないです(笑)。‏やりすぎると失敗するというのは経験から学んだので、そのさじ加減は気を付けています。

――ミカエルというキャラクターはどのように生まれたのでしょうか?

高橋:翼のライバルはもう出し切ったという思いはありつつ、それでも作家としては新しいライバル像を打ち出さなきゃいけないんです。ミカエルに関しては「これ以上のライバルはいないだろう」ぐらいの意気込みで描きました。だから翼と戦うまでも丁寧に描きましたし、その分ここまで時間もかかりましたが、思い入れはすごく強いです。

――新しいライバルが登場する一方で、ライバルやチームメイトが、それ以降のシリーズでも登場し続けるのが『キャプテン翼』シリーズの魅力でもあると思います。

高橋:一度描くとどうしてもキャラクターに愛着が生まれるんです。しばらく描かないでいると「そういえばあいつ今どうしてるかな?」と寂しくなってしまうんですよね。普通の友達に会いに行くような感覚で描いています。

――例えば、小学校時代から翼とチームメイトの石崎や森崎は「本当に日本代表になれる実力なのか?」と思ってしまうのですが、そうした思い入れがあって活躍し続けているのでしょうか?

高橋:それももちろんあります。でも彼らに関してはもう少し別の思いもあって。現実世界は翼やミカエルのような天才ばっかりじゃないですよね。世代が上がるにつれてフェードアウトする選手もたくさんいます。それでも「努力だけでもここまでやれるんだ」というのも描きたいと思っていて、その代表が石崎や森崎なんです。

高橋陽一さん

翼、日向、岬、若林がチャンピオンズリーグで戦う?

――大空翼は22歳にしてスペインのバルセロナに所属してリーグ優勝、MVPも獲得しました。クラブのプレイヤーとしてはもう頂点に達してしまったのではないかと思うのですが、今後どのような成長をするのでしょうか?

高橋:マドリッド五輪が終わったら、次はチャンピオンズリーグ編を描きたいと思っています。チャンピオンズリーグで優勝したら、それこそバロンドール(世界年間最優秀選手)にも近づくと思うので。

――バルセロナには作中最強クラスの選手であるブラジル代表のリバウールも所属しており、チャンピオンズリーグ優勝も簡単に成し遂げてしまいそうですが、そんなことはないのでしょうか。

高橋:もちろん、優勝を阻むライバルたちがまた出てくるんですよ(笑)。それこそ、日向小次郎や岬太郎、若林もこれから世界のトップチームに移籍してチャンピオンズリーグに出てくると。その4人がベスト4で対戦する、みたいなこともあるかもしれないです。

――おお、その展開はめちゃくちゃ熱いですね。果たして何年後に読めるのか…(笑)。

高橋:本当ですね(笑)。今回のオリンピック編で日本が優勝したと仮定すると、選手たちにヨーロッパのチームからオファーがたくさん来るはずなんです。アンダー23という成長しやすい年齢でもありますし、これから日本代表の選手たちはどんどん活躍していくだろうなと思います。

――そこはもう、具体的な構想としてお持ちなのでしょうか?

高橋:はい、構想はもうできています。

――過去のインタビューで「翼がFIFAの会長になるまで描くかもしれない」ともおっしゃっていました。翼には子供も生まれて、次世代の活躍を描くこともできそうですよね。

高橋:そうですね、もう永遠に続けたい(笑)。でもまあ、一応は日本代表がワールドカップで優勝するのが物語の終着点なのかなという感覚は持っています。

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