三島由紀夫ゆかりのスポットが満載!ガイドブック『三島由紀夫 街歩き手帖』に注目

文芸・カルチャー

公開日:2024/9/25

 太田出版は、三島由紀夫が愛した店や旅行先、執筆場所、作品の舞台などをまとめたガイドブック『三島由紀夫 街歩き手帖』を2024年8月20日に発売した。著者は、三島作品の論考も手掛ける横山茂彦。本書では、三島による最後の作品『豊饒の海』の謎解きにも試みている。

三島由紀夫 街歩き手帖
三島由紀夫 街歩き手帖』(横山茂彦著)

三島由紀夫が愛した店や宿などを3部構成で紹介!

 本書は3部で構成されている。第一部では、本人の日記や書簡にある首都圏の喫茶店、レストラン、クラブ、ホテルなどから現存するもの、作家活動と作品との関連性の高いものに絞って紹介。掲載されている店は、ランボオ(神保町)、東京會舘(丸の内)、末げん(新橋)、福田屋(千代田区紀尾井町)、弁天亭(現森本、渋谷区道玄坂)など。

三島由紀夫 街歩き手帖
第一部「三島由紀夫が愛した店」より

三島由紀夫 街歩き手帖
第一部「三島由紀夫が愛した店」では都内の店を紹介

 続く第二部では、新婚旅行などで訪れた全国の宿と店を紹介。三島由紀夫は作品のために綿密な取材をしており、取材ノートや創作ノートには、ほんのわずかな描写のためにも取材と調べを尽くしている。逗留先の観光施設は、リゾートスタイルの変転とともに廃業した所も少なくない。往時の派手さの裏返しで廃業後は記録が残らないが、本書が観光文化の記録を残しているのは、意義のあることだと言えるのではないだろうか。掲載店は、万平ホテル メインダイニングルーム(軽井沢)、Poppy(横浜市中区)、強羅環翠楼(箱根町強羅)、明治記念館(千代田区内幸町)、柊家旅館(麩屋町)ほか多数。

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三島由紀夫 街歩き手帖
第二部「旅先の宿と店」より

三島由紀夫 街歩き手帖
第二部「旅先の宿と店」では、旅先でどのように過ごしたかも紹介

 そして第三部では、三島由紀夫の大作にして最後の作品「豊饒の海」をクローズアップ。四部作の本作は、ほかの長編とは比べ物にならないほどの質量がある。また、昭和史の最大の謎の一つである市ヶ谷蹶起事件と密接に関係している。それゆえに、作品と事件の謎を巡って非常に多くの議論がなされてきた。三島由紀夫が作品に仕組んだ謎解き、舞台となった場所の探索、そして作中人物のモデルを解明していく。

三島由紀夫 街歩き手帖
第三部「『豊饒の海』の謎を解く」より

三島由紀夫 街歩き手帖
第三部「『豊饒の海』の謎を解く」では、最後の三島作品について考察

気になるコラムも多数収録!

 本書には、多くのコラムが収録されている。その内容は以下の通り。
三島由紀夫とお酒
三島由紀夫のスィーツ
・短編小説『橋づくし』の風景
・銀座と三島由紀夫
・三島と船舶
・怪奇小説『月澹荘綺譚』について
・三島文学における乗馬
・自決三部作
・『金閣寺』のモデルと風景

 本書に掲載されている店は、一部休業・閉店もあるが、今もなお営業している老舗も多数。三島作品に想いを馳せながら、ゆかりのある場所を訪れよう。

【著者プロフィール】
横山茂彦(よこやま・しげひこ)
著述業・編集者。複数の筆名で、ノンフィクションやエンタメ小説など多数の著書を手掛ける。三島由紀夫に関する論考に「『芸術としての政治』の完成」(「情況」2020年秋号)、「市ヶ谷事件から50年」(「紙の爆弾」2020年12月号)、「肉体が思想に変容する瞬間」(「武道通信」平成11年1月号)など、食と旅に関する著書に「日本の温泉宿」(レタスクラブ)、「池波正太郎が愛した宿」(夏目書房)がある。

【書籍情報】
■書名:三島由紀夫 街歩き手帖
■著者:横山茂彦
■仕様:四六判、280ページ
■定価:2420円(税込)
■発売日:2024年8月20日
■発行:太田出版

書籍詳細
https://www.ohtabooks.com/publish/2024/08/16165025.html

問い合わせ
太田出版
https://www.ohtabooks.com/

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