アニメ放送開始の『株式会社マジルミエ』、「魔法少女」が人気職業の世界における”ベンチャー”の役割とは?
PR 公開日:2024/10/4
集英社のマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」で連載中の人気漫画『株式会社マジルミエ』(原作:岩田雪花、作画:青木裕/集英社)がアニメ化され、10月4日(金)23時より日本テレビ系列で放送される。魔法少女を「職業」、怪異退治を「ビジネス」として描き、“魔法少女ジャンル”に新たな風を吹き込んだ本作。アニメーション制作を担当するのは、『ルパン三世VSキャッツ・アイ』のCG制作を担当した「株式会社萌」、『少女革命ウテナ』で知られる「J.C.STAFF」とあって、放送前から期待が高まっている。アニメ放送開始と同日に発売される原作コミックス最新14巻では、物語がクライマックスを迎え新たな章へと突入した。アニメ化で注目を集めるこの機会に、原作の魅力を振り返ってみたい。
舞台は自然災害の一種「怪異」が存在する現代日本。年々増加する怪異を退治するのは、魔法少女企業に所属する魔法少女たち。この世界で魔法少女は、誰もが憧れる人気の職業だ。
主人公の桜木カナは就職活動に苦戦していたところ、とある出来事がきっかけでベンチャー企業「株式会社マジルミエ」に魔法少女として新卒入社する。
本作は単なる魔法少女モノではない。社会人の成長物語だ。普通の女子大生だった桜木カナが、一人前になる過程を描いている。努力家のカナは、非凡なリサーチ能力と記憶力を持つも就活では空回りし、面接に落ち続け自信を無くしていた。自分の“好き”をどうアピールすればいいのか分からない。彼女の悩みは、就活を経験した人なら一度は感じたことがあるだろう。
新卒1年目の魔法少女として働き始めたカナは、マニュアルありきでは仕事はできないことや、現場と裏方のチームワークの大切さなどを学んでいく。
ときに葛藤し、ときに壁にぶつかりながらも、生来の真面目さを発揮して一歩ずつ「社会人」になっていくカナ。その姿に、読者は今の自分自身や、ありし日の己を重ねて共感するはずだ。
変わっていくのは主人公だけではない。株式会社マジルミエの社員たちも、それぞれ悩みと孤独感を抱えている。たとえば、人とのコミュニケーションが苦手なエンジニアの二子山。
天才的な頭脳を持つがゆえに周囲から孤立していたプログラマーの闇森。
彼らも業務を通じて成長していくが、そこには社長の重本の存在が大きく影響している。業務中は常に魔法少女のコスプレをしている変人の重本。しかし経営者としてのリーダーシップは抜群で、情熱的に社員たちを導いていく。
頼れる「社長ちゃん」であり理想主義者の重本だが、徹底した効率追求と実利主義を掲げるアスト株式会社の古賀とは何やら確執があるようだ。ふたりの対立は物語の中で重要なカギとなっている。ストーリーの序盤からちりばめられている重本と古賀を巡る因果、そして突然変異する怪異の存在。それらの要素は中盤以降、読者が驚く展開へと変貌していく。最新刊まで追いついた人はきっと気付くだろう。『株式会社マジルミエ』は、重本の成長物語でもあるのだと。
もうひとり、話の核となる“大きな成長を見せる魔法少女”がいるのだが、それはぜひ作品を手に取って知ってほしい。
文=倉本菜生