学校も生徒も選択肢があって良い! コロナ禍を経て移り変わる生活を描いた『腐女医の医者道! アフターコロナ編』

マンガ

公開日:2024/9/29

腐女医の医者道! アフターコロナ編

 2020年1月、新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認され、これまでの生活様式が日本でも大きく変化した。外出時にはマスク必須、リモートワークの増加、飲食店では注文時のタッチパネル導入などが進み、これらの中にはコロナが落ち着いた今現在まで続いているものも存在する。『腐女医の医者道! アフターコロナ編』(さーたり/KADOKAWA)は、現役外科医であり、プライベートではオタク、そして3児のママとしての顔をもつ著者・さーたりさんによるエッセイで、コロナ後の医療の変化や自身の暮らしについて描かれている。

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 本作ではタイトル通り、コロナ禍を経て移り変わる生活を仕事(医療)、家族、趣味といった視点から描いており、医療に関心のある読者や子育て中のママ、趣味を謳歌する方と幅広い層が思わず共感してしまうような内容となっている。

“多様化”をテーマにしたエピソードでは、オンライン授業が普及したことで、大雪の際に早めに休校措置をとれるようになったことや、病気の子が元気な場合は授業に参加しやすくなったことが綴られていた。高熱があるにもかかわらず自発的にオンライン授業に参加する次女・な〜さんの姿や、さーたりさんの「学校も生徒も『選択肢がある』のが良いと思う」という言葉は筆者の心に強く残っている。

 また大学の同期であり、バンド活動も行っているダイスケさんのライブへ行った話も印象深い。大学病院での勤務とバンドを両立し、休む間もない日々を送る彼に「何でそんなに頑張れるの」と聞くさーたりさん。そんな彼女に対し「逆に医者だけじゃ頑張れない」と返す場面には思わず胸を打たれた読者も多いだろう。好きなことのためなら忙しくても頑張れるというオタク心は、ジャンルや好きなものが違えど共通だということが認識できた。

 さまざまな方面で活躍するさーたりさんだが、時には宇宙飛行士の応募に挑戦したりと“夢”への挑戦を続ける姿には、読んでいる私たちも前向きな気持ちにさせられる。笑えるエピソードや深く考えさせられる話など、日常に溢れる多種多様な出来事を詰め込んだ作品だ。

文=ネゴト / 渡辺美咲

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