長時間の外出には哺乳瓶が8本。沐浴期間はかなり長め。知られざる双子育児の世界を覗ける育児マンガ
公開日:2024/10/23
ベビーカーにちょこんと乗せられている赤ちゃん。そのかわいい姿に、思わず目を細めてしまう。それが双子の赤ちゃんとなれば、なおのこと。しかしかわいらしさが2倍の反面、双子を育てるのはきっと大変なことなのだろう、とお母さんの苦労に思いを馳せてしまう。
『双子育児、ちょっぴり詰んでます!』(いよかん/KADOKAWA)は、一卵性双生児の姉・かぼすと妹・すだちの日常を覗くことができる、双子育児コミックエッセイだ。
陽キャで物おじしない姉・かぼすと、しっかり者でマイペースな妹・すだち。正反対な性格の2人が仲よく過ごすエピソードの数々に、思わず微笑んでしまう。そして、そんな彼女たちを育てる、やさしく頼もしい母と父。にぎやかな「かんきつ家」の日常が、ユーモアたっぷりに描かれる。
リアルな双子育児の様子をキュートに描くのが本作の魅力。そのなかで、なんてことない日常に潜む困難など、知らなかった双子育児の事情をしっかりと伝えてくれる。
「双子はお風呂のお世話が大変…だから長いあいだ沐浴で対応しがち」「長時間の外出には哺乳瓶が8本必要。それでも足りなくなる」なんて、全然知らなかった!
本作では双子の妊娠・出産事情にも触れており、リスクや心配事が多い双子妊娠の現実を知ることができる。「双子妊娠には安定期がない」という事実には驚かされた。妊娠・出産の尊さを再認識できるだろう。
「双子を育てることは大変。だからこそ、一瞬一瞬を大切にしたい」という著者の想いは、全ての親に共通するもの。本作は、育児に奮闘する忙しい日々に、ふと立ち止まる時間をくれるはずだ。
疲れを感じる育児の途中で、かわいい「かんきつ家」の日常をぜひ覗いてみてほしい。
文=ネゴト / Ato Hiromi