「これは、絶対売れる!」出版界の“仕掛け番長”こと栗俣力也さんが、思わずうなった台湾マンガ『いぬとおまわりさん』『綺譚花物語』。その魅力とは?【インタビュー】

マンガ

PR 更新日:2024/10/19

栗俣力也さん

 今、台湾エンタメが熱い。NetflixやU-NEXTなどの動画ストリーミングサービスでも、思わずキュンキュンしてしまうような恋愛ものからヒューマンドラマ、サスペンスまで多くの台湾ドラマが配信され話題に。それはドラマに限った話ではなく、台湾マンガも同様に続々と翻訳され、日本でも注目を集めている。そこで、出版業界の「仕掛け番長」という異名を持つ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYA)IPプロデュース本部 IP書店部 企画・編集グループ・リーダーの栗俣力也さんに、おすすめの台湾マンガ『いぬとおまわりさん』(Gene/KADOKAWA)、『綺譚花物語』(星期一回収日/サウザンブックス社)の魅力について語ってもらった。

――『いぬとおまわりさん』『綺譚花物語』を読んで、台湾マンガの印象はいかがでしょうか?

栗俣力也さん(以下、栗俣):いや、驚きました。台湾マンガが盛り上がっているという話は聞いていたんですが、これほどクオリティが高いとは。台湾のマンガ全体が凄まじい勢いで進化しているのではないか、とおそろしくもなりました。

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 そして、台湾の作品だと言われなければ……そして登場人物の名前や効果音が見慣れぬ漢字でなければ気づかないほど、読み味は日本のマンガと同じ。正直、これまで僕が読んできた海外のマンガには、没入しきれない何かを感じることも多かったんですよ。おもしろさとはまた別の話で、コマ割りなどの表現方法や文化背景が異なるために、一歩立ち止まって考えてしまうところがあった。

――小説でも翻訳作品となると入り込めない、という人は少なくないですよね。

栗俣:そう。その違いも含めておもしろさだとは思っているけど、これまでは僕たちになじみのある日本のマンガとは違うなという感覚があった。でも、『綺譚花物語』と『いぬとおまわりさん』には、一切なかったんですよね。

――マンガは日本独自の文化だと思い込んでいるところがありますもんね。

栗俣:そうなんですよ。これはうかうかしていられないぞ、と。同時に、ほかのマンガもいろいろ読みたくなりましたし、書店で展開したくなりました。あえて台湾マンガと銘打たなくても、どちらの作品も表紙とあらすじだけで手にとる人が多そうです。『いぬとおまわりさん』なんて、次にくるマンガ大賞にノミネートしてもおかしくないレベル。これは、絶対売れますよ。言葉を選ばずにいうと、今の流行どまんなかですから。

――こわもての元警察官が、殉職した相棒の遺志を継いでペットショップを開く、というだけで、好きな人が多そうですよね。

栗俣:さらにその元警察官で今はペットショップの店長が、なんらかの事情で犬になり、逆に元相棒の飼っていたタオという子犬が幼児となるという、変身モノでもある。なぜそんな事態になったのか、という謎だけでなく、事情を理解したバイトの青年・太陽(タイヤン)を含め、わちゃわちゃとした関係が描かれていくのも読みどころ。かわいいし、スリリングだし、ほっこりするし、こんなの嫌いな人はいないでしょうっていう(笑)。

栗俣力也さん

栗俣力也さん

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