「問答無用で君を花嫁にする」許嫁には他に好きな人がいる…はずなのに!? なぜか彼からのアプローチが止まらない!
PR 公開日:2024/10/30
『結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!』(葉々ねろ:作画、来栖千依:原作/スターツ出版)は、タイトル通り、ある日突然特殊な能力に目覚めた姫と、その許嫁である王子とのドタバタ恋愛劇をユーモラスに描いている。
本作最大の特徴となる設定の謎。加えてそのせいで起こる、ふたりのすれ違いもツッコミ満載! 単なるラブコメや異世界婚約モノというだけではない、様々な角度から楽しめ、読み応えある作品だ。
物語の主人公であるキャロルは、許嫁である王太子・レオンと入籍間近。だが、結婚式典前日。彼女が目覚めると、なぜか突然周囲の人々の頭上に「誰かへの好意を伝えた回数」の数字が見えるようになっていた。
最初こそ戸惑ったものの、仕組みがわかればなんてことはない。そう思っていたキャロルだったが、その後すぐ城内で出会った許嫁レオンの頭を見ると、なんとそこには∞(無限大)のマークが。
思い返せばキャロルは、レオンから一度も自分に対する愛情表現の言葉を聞いたことがない。それなのに頭上のマークはカンスト。これはつまり自分以外に、好意を伝えている相手がいるということでは!? と思うキャロル。
4歳の頃からの許嫁関係で、キャロル自身はレオンを慕う気持ちを長年持ち続けている。しかし肝心のレオンがそういうことであれば、自分は潔く身を引こう。思い立ったが吉日、キャロルはなんとその場でレオンに婚約破棄を宣言。持ち前の行動力でなんとしても彼から離れようとするが、なぜかレオンは自分を逃がしてくれず――。
作品の面白さはやはり周囲の人々、そして時には読者をもトップスピードで置いていってしまうキャロルの突っ走り癖! どんな時でもまっすぐに、思い立ったら一直線。それは彼女の長所でもある一方、その様に振り回される彼の兄をはじめとした人々のてんやわんやっぷりもポイントだ。
だがそんなキャロルの考えとは裏腹に、一向に彼女との婚約破棄を受け入れる気がないレオン。∞マークの謎は残るものの、我々読者から見ても確かにレオンはキャロルのことが大好きな様子。時折垣間見えるやや黒い表情からは、むしろ彼女に執着を抱いているような雰囲気すらうかがえる。
レオンもまた、突っ走るキャロルのことなど意に介さず、十二夜続く結婚式典をあの手この手で遂行しようとする。その点では、キャロルとはまた少しベクトルの違う「強引さ」を持っているとも言える彼。そういった意味では、ある種ふたりはお似合いのカップルなのかも。
物語が進むにつれもはや攻防戦の様相を呈してきた、キャロルとレオンの結婚式典。レオンの∞マークの真相とは? そしてキャロルの誤解は解けるのか? ドタバタでにぎやかなふたりから、最後まで目が離せない。