一度も愛されぬまま一方的に離婚を告げられた。捨てられた妃に待っていたのは…一途すぎる竜族執事からの溺愛!?
PR 公開日:2024/10/31
芸は身を助くという言葉があるが、時には助けてくれるはずの芸が人生を狂わせてしまうケースもある。特に個人の意思と関係なく人生が決められてしまう世界では、誰にいつどんなふうに認められるかが一層大きな分岐点になることだろう。
『捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました』(紅月りと。:作画、里海慧:原作/スターツ出版)は、才能に恵まれたことで外れくじを引かされてしまった主人公が、自らの足で立ち上がり、運命の人と成り上がる異世界恋愛ファンタジー。
この物語の主人公は、魔石の採掘と魔道具開発が盛んなスレイド伯爵家の娘として生まれ育った女性ロザリア・スレイド。12歳で初めて魔道具を完成させて以降、ロザリアが開発する魔道具はどれも大ヒットとなり、いつしか「魔道具開発の天才少女」と呼ばれるようになっていった。そしてロザリアが15歳のとき、その噂が国王の耳に届き、王命で第一王太子ウィルバート・ヴィ・アステルと婚約したのだが――。
最初こそ魔道具に興味を持ち好意的だったウィルバートだったが、学園で出会ったボニータ・ファンク男爵令嬢に一目惚れしてからは一変。以降、ロザリアとウィルバートが並んで歩くことは一切なくなってしまう。しかし関係が冷めきっても婚約が破棄されることはなく、ウィルバートの学園卒業を待って、ふたりは正式に結婚した。しかし6年後、一度も愛されることのないまま、愛妾ボニータの懐妊をきっかけに「今すぐ僕と離縁してくれ」と言われてしまう。
自分の幸せを諦めて民のためにと国に尽くしてきたにもかかわらず、最終的にその立場すら奪われてしまったロザリア。こんな仕打ちを受ければ心病んでもおかしくないが、ロザリアはここから本来の自分を取り戻し、国を出て魔道具開発をしながら平民として生きることを決意。気持ちを切り替え、むしろ清々しい気持ちで前へ進んでいく。その吹っ切りが潔く、強い女性の美しさを改めて感じさせてくれた。
ここからは、倒れていたのを助けて以降長年支えてくれた執事のアレスが、「どうか変わらずお側に…」「お嬢様の専属執事であり続ける事こそ私の希望であり幸せにございます」と猛アピールを開始する。
どうやら、何が何でもロザリアと離れたくない様子。ロザリアはアレスの熱意に押され、彼とともに彼の故郷へ向かうことに。
そこには文献でしか知らない竜人の国ラクテウス王国が広がっており、アレスの正体が人知を超える存在「竜人」であると明かされる。実はアレスにとってロザリアは、出会ったその瞬間から、竜人にとって唯一無二の伴侶である「番」――つまり運命の相手だったのだ。
アレスはこのあとも、ロザリアに伴侶となってもらおうと隙あらば彼女に迫りまくる。「王太子妃の執事」という枷がなくなった今の彼には気持ちを抑える理由なんてなく、そのまっすぐで強い真摯な思いが、ロザリアの心を揺さぶっていく。生き生きとした様子で迫るアレスの表情や言動を見ていると、これまで好きでたまらないのを我慢してたんだね、よく耐えたね、という気持ちで胸がいっぱいになる。また、紅月りと。先生の圧倒的画力による強引な口説きには、見ているこちらもドキドキしっぱなしだ。
アレスと第二の人生をスタートさせたロザリアは、これからアレスとどんな逆転劇を見せてくれるのか。ロザリアに執務を任せて愛妾と遊び惚けていたウィルバートは、彼女を捨てた王国は、これからどんな道を辿るのか。また、アレスには何やら他にも秘密があるようで――!? 今後のふたりの邁進が楽しみでならない。
文=月乃雫